第9地区
【 ストーリー・あらすじ 】
あるものはエイリアンによる侵略を恐れ、あるものは技術の革新的な発展がもたらされると期待したが、宇宙船はヨハネスブルグ上空に浮かんだまま、動こうとしない。しびれを切らした南アフリカ政府は偵察隊を派遣。船内で彼らを待ち受けていたのは、弱り果てたエイリアンの群れだった。彼らは故障した宇宙船に乗った難民に過ぎなかったのだ。
それから28年後、難民として生活するエイリアンと人間が暮らす共同居住区「第9地区」はスラムと化していた。
超国家機関MNUはエイリアンの強制移住を決定し、ヴィカスという男を現場責任者に指名する。彼は立ち退きの通達をして回るうち、知らずに人類とエイリアンの歴史を変える大事件の引き金を引いてしまう・・・。
【 出演 】
シャールト・コプリー, デヴィッド・ジェームズ, ジェイソン・コープ, ヴァネッサ・ハイウッド
【 監督 】
ニール・ブロムカンプ
【 製作 】
ピーター・ジャクソン
【 感想 】
この映画「第9地区」を皆さんは鑑賞されたことがありますか?「ロード・オブ・ザ・リング」シリーズのピーター・ジャクソン製作で送るSF映画です。人間とエイリアンとの共存・対立をドキュメンタリータッチで描くという斬新な映画となっていて、すごく新鮮で楽しめました。ぜひご覧ください。
地球に難民としてやってきたエイリアン(通称:エビ)
1982年、南アフリカ共和国のヨハネスブルク上空に巨大な宇宙船が出現、当然人類は大騒ぎになるのですが、いつまで経っても何の音沙汰もありません。そこで宇宙船を調査するのですが、そこには宇宙船が故障したことにより惑星に帰ることもできなくなってしまった難民のエイリアンが大量にいたのです。
ということで、難民となった大量のエイリアンが地球に住める場所を与えようということになります。その場所こそがタイトルにもなっている「第9地区」です。
これは面白いですねっ。地球にエイリアンがいること自体凄い事ですが、エイリアンが棲みついたわけではなく、エイリアンが住むための場所を地球側が提供しているんですもんねっ。簡単に地球を支配できるぐらいの力を持っているのに、肩身の狭い生活を送っているところが面白かったです。
何か不思議なものですねっ。危険な生き物を単に閉じ込めるのではなく、地球のルールに従順させることにより、逆にそれによってエイリアンにも少なからず自由と権利が生まれてるように感じました。「エイリアン立ち入り禁止」などの看板があるということは、それらの禁止事項さえ守ればいいということですもんねっ。
そんな人類とエイリアンとの共存が始まって28年後、エイリアンたちを別の場所に移住させる計画を立てたことにより事件が起きます。人類とエイリアンの共存をユーモアを交えて描くというのは、ヘタしたらB級っぽくなりがちですが、映像のクオリティの高さがそうさせないのでしょうねっ。この斬新な設定に冒頭から完全に心をがっしり捕まれました。
ドキュメンタリータッチ
斬新なのは設定だけではありません。その「魅せ方」がドキュメンタリータッチなのが、これまた良かったです。ドキュメンタリータッチに表現することによって、この有り得ない設定がよりリアルに感じることができました。
編集も見事ですねっ。色々な人のインタビューを挟みながら物語が進んでいき、地上からの映像はもちろん、ヘリコプターから撮った映像だったり、固定カメラ(隠しカメラ)のような映像など、色々な角度から映し出すところなんかはとても見事でした。
第10地区への移住計画
人間によりエイリアンへの反発や差別が頻繁に起こるようになったということで、エイリアンを監視・管理している超国家機関「MNU (Multi-National United) 」は対策に踏み切ります。それがエイリアンたちを郊外にある「第10地区」へ移住させる計画です。
この移住計画の責任者に任命されたのが、MNUのエイリアン対策課職員であるヴィカスです。今回の責任者に任命されたことといい、今の職に就けたのもおそらくコネなので仕方ないかもしれませんが、ちょっと頼りない感じですよねぇ。立ち退きのサインを貰うため、エイリアンと交渉するところはすごく滑稽で面白かったです。
人間からエイリアンに変身
立ち退きのサインを求めている時に、ハプニングが起きてしまいます。ヴィカスはエイリアンの家で見つけたある筒を触っていると、変な液体を浴びてしまうのです。そして一気に気分が悪くなり、嘔吐を繰り返します。このことがきっかけとなり、ヴィカスの体に異変が・・・。
最初は何てことないと思っていましたが、見る見るヴィカスの体に異変が現れましたねぇ。まずは体調がどんどん悪化していき、鼻や口から黒い液体が出てきて、爪が剥がれていきました。もうこの時点で何かおかしいどころではないですねっ。
病院で左手に巻かれた包帯を解いた時にはびっくりしました。なんとエイリアンの手になっていたんですもんねぇ。こうなればMNUが彼を放っておくわけがありません。治す、助けるのではなく、実験材料として監禁しあらゆる実験を行います。
逃亡
身の危険を感じたヴィカスはMNUの研究所から命からがら逃げ出します。といっても逃げる場所はどこにもありません。ヴィカスはエイリアンと性行為をしてエイリアン化したとして、逃亡犯・危険人物としてテレビで放送されてしまうのです。
これはさすがにかわいそう過ぎですねぇ。ヴィカスの不注意が巻き起こしたことに違いありませんが、嘘の情報によって彼は妻にも信用してもらえなくなってしまいました。もう彼の居場所はどこにもないのです、「第9地区」を除いては・・・。
彼がエイリアンが大好物のキャットフードを食べるシーンがありましたが、あの時のヴィカスはやり切れない思いだったでしょうねっ。夢中で逃げ続けてきて、現実を受け入れざるを得なかったシーンだったと思います。
謎の筒の奪還
逃げ込んだ第9地区で頭の良いエイリアンのクリストファー・ジョンソンに出会い、人間に戻る方法を知るのです。それにはクリストファー・ジョンソンが宇宙船を動かすために作った、そしてヴィカスがエイリアン化するきっかけとなった謎の筒が必要とのこと。こうしてヴィカスとクリストファー・ジョンソンは筒を取り戻そうとするのです。
この辺りからですかねっ。それまで人間側の目線で観ていましたが、ここからエイリアン側の目線に変わっていました。主役がヴィカスというのもありますが、人間のいやらしさや冷酷さをたくさん見せられましたし、逆にエイリアンの良い部分が目立っていたのも理由だと思います。
エイリアン vs 人間
筒を手に入れたヴィカスとクリストファー・ジョンソンでしたが、人間に戻るには3年もかかるというのはびっくりしました。3年は長いです、でもだからといって早く人間に戻るためにクリストファー・ジョンソンを置き去りにしようとしたのはダメですよねぇ。
ただそれもまた簡単にはいきません。人間側は軍隊などを投入してヴィカスを捕まえようと、または殺そうと襲い掛かってきます。注目はやはりMNU傭兵部隊のクーバス大佐ですねっ。戦いの場を楽しんでいるような性格で、とっても良いキャラクターだなぁと思いました。クーバス大佐がいることにより、より面白くなっていたと思います。
そしてヴィカスが操縦するマシンも良かったです。エイリアンが作ったものだけあって、武器も破壊力ありますし、操縦席も近未来な感じがして良かったです。こんな凄いマシンがキャットフードと交換されたものというのは面白いですねっ。
人間かエイリアンか
最後にヴィカスが身を制してクリストファー・ジョンソンを宇宙船に行かせたところは良かったですねっ。それまでずっと自分のことしか考えていなかったヴィカスでしたが、あの時はかっこよかったです。
ヴィカスは最初エイリアンに対しバカにしたような感じでした。しかし、あの液体を浴びて以降どんだけ人間のイヤな部分を見てきたか。そして、クリストファー・ジョンソンが捕まり殺されそうになった時、クリストファー・ジョンソンへの情、逃げている自分に対する嫌気、人間に対する怒り、それらが溢れてきての行動だったと思います。
そして、乗っていたマシンが破壊されて、倒れこんだヴィカスが振り向いた時の顔にはびっくりしました。腕から始まったエイリアン化が片目まで及んでいましたねっ。ただ、この時の彼の表情がこれまでで一番かっこよかったです。
エイリアン移住計画は昇進へのステップとしか考えていなかったと思いますし、エイリアン化し出すと人間に戻るためならどんな手段でも行なってきました。全ては自分の利益のためでしたよねっ。そんな彼が最後にクリストファー・ジョンソンを含めた難民エイリアンたちのことを優先した行動を見せました。
人間に戻ってもまともに生活できる環境があるとは思いませんが、人間に戻してあげてもいいかなぁと最後に初めて思いました。もし彼が人間に戻って超国家機関「MNU」で働けば、人間とエイリアンの共存がより良い方向に向かうように戦ってくれそうですもんねっ。
第10地区
ラストで完全にエイリアン化したヴィカスが映っていましたが、クリストファー・ジョンソンが言っていた「3年後に人間に戻す」という約束はどうなるのでしょうねっ?とっても気になるので、ぜひ続編を作ってほしいです。
まぁ、そうなるとタイトルは「第10地区」になるんですかねっ。続編が作られてもおかしくない終わり方でしたし、本作の斬新さがとても良かったので、ぜひ映画「第9地区」の3年後を描いてもらいたいです。
- Comment(4)
- [ SF ファンタジー映画 ] パニック モンスター
ラストは続編を予感させる終わり方でしたよね。個人的にはショッキングな映像に弱いので苦手なシーンもありましたが、やっぱりあの前半の、テンポのいいニュース映像的なところがグイグイ来ましたね~
お邪魔しました。
でわでわ。
- 2012/05/06
- teiさん
こんばんは、teiさん。
コメントありがとうございます。
teiさんは去年鑑賞されたんですねっ。
私は最近ですが、評判が良かったので鑑賞しました。
teiさんが仰るように
ドキュメンタリータッチと、異性人が難民という設定がとても斬新で
リアルな感じがとても良かったです。
確かにショッキングな映像がけっこうありましたねっ。
私は特に気にはならなかったのですが
他の方のレビューでもそのような意見がいくつかあったので
続編が制作される際には
その点を抑えてあると、より楽しめる作品になりそうですねっ。
ご訪問ありがとうございました(^^)
- 2012/05/07
- パッチさん
この映画を見ていてヴィカスはまるでのび太くんみたいだなーって思っちゃいました(笑)
最初からお調子者っぽかったですし!
- 2012/05/21
- こみかどさん
こんばんは、こみかどさんへ。
コメントありがとうございます。
そういえば、ちょっと前にテレビで放送されていましたねっ。
私は観ていなかったのですが
やはり尺というものがあるのでカットは仕方ないと思いますが
違った風に伝わるのはちょっとショックです。
あとヴィカスはほんとにのび太みたいですねっ。
ぴったりの表現だと思います。
ダメダメでお調子者、しかしラストの方で少し頼もしく見えたのはまさにのび太ですねっ。
ご訪問ありがとうございました(^^)
- 2012/05/22
- パッチさん
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- 第9地区
エイリアンが難民という設定がまず面白い。それと、いつの時代も暴力はなくならないものなんだね。 難民たちはエビと呼ばれてスラム化して暮らしている。ヴィカスは彼らを強制移住させる責任者だ。 ヨハネスブルグの上空に正体不明の巨大宇宙船が現われるが宇宙船の故障...
- 【いやいやえん】
- 2012/05/03
名無しさん (02/01)
(^_^)vさん (12/27)
沖メロンさん (12/21)
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