インビクタス/負けざる者たち
【 ストーリー・あらすじ 】
1990年、アパルトヘイトに反対し27年間も投獄されていたネルソン・マンデラ(モーガン・フリーマン)がついに釈放される。初めて全国民が参加した総選挙が実施され、マンデラは南アフリカ初の黒人大統領に就任する。しかしアパルトヘイト撤廃後も、白人と黒人の人種対立と経済格差は依然として解消されていなかった。マンデラ大統領にとって国民の統合こそが悲願であり、国民に和解と融和を呼びかける。
翌95年に南アフリカで初開催されるラグビーW杯を国民融和のチャンスと捉え、長らく国際試合から閉め出され弱小化していた代表チームのキャプテンのフランソワ(マット・デイモン)に、国を一つにまとめるためにW杯での優勝が欠かせないと訴えかける。大統領の不屈の信念に心打たれたフランソワは、やがて誰もが不可能と考えた優勝目指してチームを引っ張っていく。
【 出演 】
モーガン・フリーマン, マット・デイモン, レレティ・クマロ, マット・スターン
【 監督 】
クリント・イーストウッド
【 感想 】
この映画「インビクタス / 負けざる者たち」をみなさんはご覧になられましたか?監督は名優であり名監督であるクリント・イーストウッド、そしてキャストはモーガン・フリーマン、マット・デイモンで送る実話を基に制作された作品です。いつものイーストウッド監督作品を少し爽やかにした感じですねっ。興味のある方はぜひご覧下さい。
ちょっとした予備知識
みなさん「アパルトヘイト」という言葉を聞いたことがありますか?映画の冒頭で少し説明はされているのですが、この言葉は本作にとても大きく関わってきますので、映画を観る前のちょっとした予備知識ということで覚えてから鑑賞されると、物語に入っていきやすいと思います。もし良かったらお役立てください。
+ 南アフリカ共和国においての「アパルトヘイト」 +
黒人・白人・その他の人種の混血を避けるため、それぞれの人種を隔離・分離し、異人種間の結婚を認めないなどの人種隔離政策である。
1948年に南アフリカ共和国で法律化、国際社会からの批判とともに、経済制裁、南アフリカとの貿易封鎖など、国内経済の悪化が日増しに強くなるのを受け、1994年に人種隔離政策を撤廃。これにより全人種が例外なく選挙権を享受するようになりました。 (「Wikipedia」より引用・参照)
南アフリカ共和国の黒人初の大統領 ネルソン・マンデラ(モーガン・フリーマン)
1994年に南アフリカ共和国に黒人初の大統領が誕生します。それがネルソン・マンデラです。1994年に人種隔離政策が撤廃され、これにより今まで選挙権を持たなかった多くの黒人が選挙権を持つようになり、黒人初の大統領が生まれたのです。そのマンデラ大統領がどのように国を治めていくのかが描かれています。
27年間もの長い年月を反体制活動家として刑務所で服役していたマンデラが大統領になったということは、白人たちにとっては怖かったでしょうねっ。
27年間服役していた苦しい思いを白人に対して復讐するのではないだろうか?白人たちにとって暮らしにくい国になってしまうのではないだろうか?そんな不安でいっぱいだったと思います。
しかし、マンデラはその差別を無くして白人と黒人が共に暮らし協力し合える国を作ろうとするのです。これは素晴らしいですねっ。マンデラがいかに素晴らしい人物かが伝わってきました。そのマンデラを名優モーガン・フリーマンが演じています。
「ディープ・インパクト」でもモーガン・フリーマンはアメリカ大統領を演じていましたが、その時とはまた雰囲気が違っていて、彼の醸し出す優しさと温かさがとても印象的でした。
マンデラの自伝書を映画化するなら誰に演じてもらいたい?という問いに「モーガン・フリーマン」とマンデラが答えたのがきっかけで、モーガン・フリーマンがその脚本をクリント・イーストウッドに送って映画化が実現したということですから、モーガン・フリーマンの意気込みだったり役への想いが演技に表現されていたのだと想います。
黒人と白人のボディガード
大統領にはボディガードが就きますが、マンデラは黒人の他に白人のボディガードも任務に就かせます。これこそマンデラの意志の表れですねっ。大統領のボディガードであれば、テレビに映りこむ機会も多いので、その中に黒人だけでなく白人もいることで、国民への主張と訴えになります。
しかし、やっぱり大統領の意向をすんなり受け入れるのは難しいです。昨日まで反発し合っていた者同士が、急に仲良くなることはできません。なのでボディガードたちが協力し合っているのは、「大統領を守る」という同じ任務と目的を持っているからであって、白人と黒人のボディガードは「我慢」で繋がっているのが印象的でした。大統領の一番近くにいる彼らさえがいがみあっていることで、国の黒人と白人の関係の深刻さがとても伝わってきました。
ラグビーW杯優勝
イギリス発祥のスポーツであるラグビーは白人にとっても人気の高いスポーツですが、お金がかかりルールも難しいラグビーを多くの黒人は嫌っていました。おまけに南アフリカのラグビーチームのほとんどが白人で、黒人はたった1人しかいなかったため、ラグビーはアパルトヘイトの象徴とするスポーツとされていたのです。
そのアパルトヘイトの象徴であるラグビーにこそ、白人黒人の団結・融合の起爆剤となるとして、南アフリカ代表のラグビーチーム「スプリングボクス」を応援し奮起させるのです。
まさかスポーツで国を変えようとするなんて想像も付きませんでした。ただ、サッカーW杯やオリンピックやWBCにおける日本国民のように、白人黒人を同じ思いになり共感させる点において、スポーツは最高なのでしょうねっ。
南アフリカ代表のラグビーチーム「スプリングボクス」の主将フランソワ・ピナール(マット・デイモン)とマンデラがお茶をするシーンがありました。マンデラは直接言葉にしていなかったですが、フランソワにはきちんと伝わっていたんですねっ、「W杯で優勝してほしい」と。
お茶をして話したことにより、フランソワはマンデラがどのような人物かがわかったと思いますし、マンデラがどのような国にしたいかというのも伝わっていたと思います。「白人ばかりのラグビーチームは解散」という不安なんて一瞬で吹っ飛んだでしょうねっ。それぐらいマンデラにはカリスマ性があったと思います。
南アフリカ代表のラグビーチーム「スプリングボクス」の主将フランソワ・ピナール(マット・デイモン)
成績が低迷している南アフリカ代表のラグビーチーム「スプリングボクス」の主将フランソワ・ピナールをマット・デイモンが演じています。昔ラグビーをやっていたのでは?と思わされるぐらい体が鍛えられていましたし、チームを引っ張る主将としてのリーダーシップが画面にすごく表現されていたと思います。
マット・デイモンは昔から大好きな俳優さんですので、クリント・イーストウッドやモーガン・フリーマンの名優・名監督と一緒に仕事をしたということは本当に嬉しかったです。あと、本作でアカデミー助演男優賞にノミネートされてましたが、ほんとに素晴らしい演技だったと思います。さらにマット・デイモンのファンになりました。
27年間の服役
ラグビーチームのみんながマンデラが服役していた刑務所を訪れるシーンがありましたが、これもまたマンデラという人物を知る上で重要なシーンだったと思います。反体制活動家として刑務所に入れられていた彼は、27年間もの長い間一体何を考えていたのか?フランソワを通して考えさせられるシーンでした。
それにしてもほんとに凄いと思いました。27年間はほんとに長いです。一体どれほどの辛さを味わったことか、それなのに白人に対して復讐どころか、赦し団結しようと考えたわけですからマンデラの寛容さや器の大きさは凄いなぁと思いました。
心に残ったシーン
「スプリングボクス」のラグビーチームのみんなが黒人の子供たちにラグビーを教えに行くシーンはとても良かったです。嫌々ながらバスで向かったラグビーチームでしたが、笑顔ではしゃぐ子供たちと一緒になって楽しみ笑っていたのはとても印象に残りました。
あとマンデラのボディガードが庭でラグビーをするシーンです。最初いがみあっていたにも関わらず一緒になってラグビーをやっていたのは感動しました。ほんとに楽しそうでしたし、これもマンデラとラグビーの効果の表れだと思います。
そしてフランソワがラグビー決勝戦のチケットを4枚持って帰ってきたことです。黒人女性の使用人のチケットもきちんと用意していたんですねっ。とっても嬉しそうに笑っていた使用人の顔がとても印象的でした。
ラグビーW杯の決勝戦
チームが一丸となり決勝戦に駒を進めます。マンデラの意志を主将のフランソワが受け取りましたが、その意志はチーム全体へと広がってましたねっ。それが国歌斉唱にも表れていたと思いますし、ラグビーW杯優勝なんて有り得ないとまで言われていたチームが決勝戦の舞台に立てたのも納得です。
強豪ニュージーランド代表のラグビーチーム「オールブラックス」との決勝戦はほんとに楽しめました。本作のジャンルは「ドラマ」だと思いますが、ラグビーの試合はとても迫力もありましたし、スポーツ映画としてもすごく熱くさせられました。
あと、プレーからは「ワールドカップ優勝」という強い意志が感じられましたし、同時に使命感も伝わってきてすごく良かったと思います。
あとやっぱり会場に集まった全ての白人黒人が1つになっていたのが良かったです。肌の色なんて関係ない、自国の優勝を信じてみんなが応援していたのは感動しました。マンデラが大統領になる前、黒人たちは相手チームの応援をしていたのを考えると、ものすごい変化ですよねっ。
そして優勝した瞬間はほんとに感動しました。自国開催のワールドカップ、ワールドカップ初出場にして初優勝、これもマンデラが大統領になったことが大きかったと思いますし、その期待に答えたラグビーチームもほんとに素晴らしいと思いました。
スポーツは自国開催が有利と言われていますが、黒人白人が一緒になっての応援がラグビーチームに力を与えたのだと思います。
私はラグビーをあまり観たことがないので、ルールなどそれほどよく知らないのですが、それでも熱くなりましたし楽しむことができました。リアルに描かれていましたし、そこにドラマが加わっているのが大きいと思います。
本作のような綺麗なサクセスストーリーがフィクションではなく、実話だということがほんとに素晴らしいと思いました。また、作品を通じてアパルトヘイトやネルソン・マンデラという人物について学ぶことができるのも良かったです。素晴らしい作品だなぁと思いました。
- Comment(2)
- [ ヒューマン ドラマ映画 ] スポーツ
今日この映画のDVD観ました!
とても良かったです。
南アフリカの代表選手が子供達にラグビーを教えているところは、パッチさんも書かれているようにいいですね!
モーガン・フリーマンは大統領の貫禄がありましたねー!
人間の深さみたいのを感じました。
あと、パッチさんもお好きなマット・デイモンも、大統領の気持ちを察して、チームを一つにしていくところが良かったですね!
個人的には、決勝戦でいきなりジャンボ機が会場に接近してきて、テロかと思いきや、飛行機の下に応援メッセージが書いてあったところも好きです!!
この映画に「感動」のジャンルで1票お願いします!!
またオジャマします!!
- 2011/05/25
- マサカズさん
こんばんは、マサカズさん。
コメントありがとうございます。
本作を鑑賞されたんですねっ。
実話の映画化ということで
とても重みと説得力のある作品になっていたと思います。
選手が子供たちにラグビーを教えるところなんかは感動しましたねっ。
最初は戸惑いが見られましたが
徐々に子供たちや選手たちの笑顔が見られたのが素敵でした。
モーガン・フリーマンの大統領は適役でしたねっ。
貫禄と共に優しさに溢れていたのも印象的でした。
彼だからこその演技でしょうねっ。
マット・デイモンもほんとに素晴らしい演技をしていましたし
ほんとの選手に思えるぐらい鍛えられていて
それもまたすごいなぁと思いました。
飛行機の応援メッセージも良かったですねぇ。
ラグビーという1つのスポーツを通じて
みんなが同じ思いになっていたのが伝わってきました。
「感動」に一票ですねっ。
投票ありがとうございます。
ランキングに反映させていただきますねっ。
はいっ、いつでもお待ちしております。
ご訪問ありがとうございました(^^)
- 2011/05/25
- パッチさん
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