紅の豚
【 ストーリー・あらすじ 】
宮崎駿監督による第一次大戦後の世界恐慌の嵐が吹き荒れるイタリアを舞台に、再び国家の英雄になることを拒み、自ら魔法をかけてブタになってしまった一人の男のカッコよさを描いた作品。荒々しくもいとおしい飛行艇乗りたちの姿や、クライマックスの空上の対決シーンなど世代を越えて楽しめることは間違いないが、豚なのに、いや豚だからこそ自由に生きるポルコを見れば、「飛ぶこと」を忘れてしまった大人ほど感じるところは多いかもしれない。
【 出演(声) 】
森山周一郎, 岡村明美, 加藤登紀子, 大塚明夫
【 監督 】
宮崎駿
【 感想 】
この映画「紅の豚」をみなさんは鑑賞されたことがありますか?宮崎駿監督作品でスタジオジブリ製作の長編アニメーション映画です。ジブリ作品ということで幅広い層で楽しめる作品となっているのですが、個人的には男性の方におすすめです。そして、子供よりも大人の方々がより楽しめる映画だと思います。ということで、ぜひ世界一かっこいい豚をご覧下さい。
主要登場人物(キャラクター)の紹介
マルコ (通称:ポルコ)
豚の姿をしているが、元々は人間の姿だった。
昔は空軍のエースパイロットだったが、今は賞金稼ぎ。
ジーナ
ポルコの幼なじみの美しい女性。
空中海賊や飛行艇乗りのマドンナ的存在。
フィオ
飛行機設計技師の17歳の女の子。
ポルコの飛行艇を改修を任されるほどの腕前。
カーチス
空軍海賊が雇った用心棒の飛行艇乗り。
ポルコからは「アメリカ野郎」と呼ばれている。
マンマユート団の親分
空中海賊マンマユート団の親分。
賞金稼ぎのポルコに手を焼いている。
賞金稼ぎの豚 ポルコ
ジブリ作品でこのような主人公は今までにいなかったです。なんと豚の姿をしているんです。映画が公開される時にCMなどで、「紅の豚」の映像を見て「豚っ!?」って驚いたのを今でも覚えています。かなりインパクトがありますし、それに「一体どんな物語なんだろう?」と興味をそそられる設定だと思いました。
はっきりいって決してかっこいいようには見えませんよねっ?しかし、これが・・・すっごくかっこいいんですっ。世界一かっこいい豚なんです。性格がとてもかっこよく、男らしさだったり渋さだったりと、男から見てほんとにかっこいいと思いました。そして、なぜか豚の姿のポルコがとってもかっこよく見えてくるのです。内面は外見に表れるといいますがまさにその通りだと思いました。
あとなんといっても声が素晴らしいです。ポルコの声優を森山周一郎さんが務めていらっしゃるんですが、この起用はかなり大きかったと思いますし、ポルコの声は森山周一郎さんしかいないと感じました。
男たちのマドンナ ジーナ
豚のポルコに対照的なほど綺麗で、空中海賊と飛行艇乗りのマドンナ的な存在がジーナという女性です。空で敵対している空中海賊や飛行艇乗り、そして空中海賊を相手に賞金稼ぎをしているポルコも、彼女が経営しているホテル「アドリアーノ」のある島付近では、暗黙の了解で争いが禁止されています。それほどまでに空の男たちに認められている存在であり、文字通り男たちが羽を休める憩いの場となっているんです。
ジーナの声優を加藤登紀子さんが務めているのですが、彼女が劇中で唄う歌も見所の1つだと思います。あまり詳しくないのでわかりませんが、歌のジャンルとしてはシャンソンなんですかねっ?ほんとに素敵な歌で、作品を素敵な雰囲気で包んでくれています。
飛行機設計技師の女の子 フィオ
本作でジーナと同じくヒロインを務めるのが17歳の女の子フィオです。まだ17歳ということでポルコからしたらまだまだ子供ですが、ポルコの命とも言える飛行艇を改修するのを任されたのがフィオなんです。
ポルコの飛行艇はボロボロになってしまい修理どころではなく、新たに飛行艇を作るのとほぼ同じぐらいの大仕事です。しかし、腕は確かということでマルコはフィオに飛行艇を任せることになります。
腕は確かといってもまだまだ経験も少ないであろう女の子に、大切な飛行艇の改修を任せるのは不安です。しかし、フィオは寝る間を惜しんで設計図に取り組んでいましたし、仕事に向かう姿勢からは一生懸命さが伝わってきていました。それをポルコも感じていたと思います。そこから彼女の性格も伝わってきましたし、おそらくポルコも安心して任せることができたのでしょうねっ。
飛行艇を修理するフィオや、パートとして働くたくさんの女性たち、そして飛行艇乗りが癒しの場所としているジーナが経営するホテル「アドリアーノ」。飛行艇乗りの世界は男性たちの世界というイメージですが、女性あってこそだということがよくわかります。
ポルコに恋するフィオ
フィオは子供ながらしっかりしていますし、素晴らしい女の子だと思います。だからこそ豚であるにも関わらずポルコに恋をしたのだと思います。といいましてもポルコからすればまだまだ子供も子供です。なんといってもポルコは、大人の魅力を持っておりとっても美しいジーナをいつも近くで見ているので、なおさらフィオを子供に感じていたでしょうねっ。
ただ、やっぱりフィオは魅力的な女の子です。飛行機設計技師としてのプライドを持っており、自分が任された仕事に対して責任も持っています。そして、彼女の仕事に対する姿勢は素晴らしいものがありました。ただそれだけではなく、新たに完成した飛行艇を壊しに来た空中海賊に対して、物怖じせず立ちはだかる度胸も素晴らしかったです。
でもやっぱり子供なんですよねっ。弱さもところどころで表現されています。しかし、彼女からはどうもジーナっぽさを感じます。おそらく大人になったらジーナのような女性になるんじゃないかなぁと思いました。それは逆に、綺麗で清楚というイメージだったジーナが、時折見せるワンパクな性格だったり度胸からも感じました。
ポルコが人間の姿に
不思議なことに豚のポルコが一時的ではありますが、人間の姿になる時があるんです。その姿はやはり予想していた通りにかっこよく、とても渋い男性でした。ただ、疑問に思うのは「なぜ人間の姿になったのか?」ということです。これは謎ですねぇ、とっても難しいです。
ただなんとなくプラス的な要因の時にポルコが人間の姿になるというのは伝わってきました。そして醜い豚の姿からかっこいい人間の姿になるということは、おそらく内面的な要素が関係しているのでしょうねっ。
しかし実際のところ、どういうことなんでしょう?「人間でいるのも悪くない」と思った時?う~ん、ちょっと答えは出ていませんが、これはまた次回鑑賞する時の楽しみに取っておきたいと思います。
フィオを賭けて
フィオの説得もあって、空中海賊たちはポルコの飛行艇は壊されずに済みます。しかし、その条件として空中海賊が用心棒として雇ったカーテスと飛行艇による決闘が決まるのです。しかもその決闘はフォオを賭けて行なわれるのです。もしポルコが負けてしまうと、フィオはカーテスのものになってしまうということです。
これはかなりの賭けですよねぇ。金でも物でもなく人間のフィオが賭けの対象となるのですから。もちろんポルコのパイロットとしての腕は確かです。かつて空軍でパイロットだった頃は「アドリア海のエース」とまで呼ばれていたほどのエースパイロットで、その腕前は飛行艇乗りの中では有名です。しかし、カーチスも腕は確かで飛行艇も優れたものを乗っています。
はっきりいってどちらが勝ってもおかしくない決闘ですが、賭けの対象となったフィオは、ポルコが負けることなんて有り得ないと言わんばかりに自信満々です。ポルコを信頼しきっているんですねっ。こうして二人の決闘はすべての飛行艇乗りが注目する大イベントが開催されるのです。
ポルコとカーテスの決闘
この二人の決闘はほんとに魅せてくれます。飛行機に詳しくない私ですが、二人が繰り出す高度なテクニックと操縦には楽しませてもらいました。スピード感もあって、ハラハラドキドキを与えてくれます。それにしてもポルコが乗っている飛行艇・・・かっこよすぎです。
おもちゃ売り場などを通るとポルコが乗っている飛行艇のプラモデルや模型を見かけますが、この映画を観るたびに「ほしいなぁ~」って思ってしまいます。すごくかっこいいです。
もう二人とも素晴らしい攻防です。決着は付きません。となると?こうなったら陸での戦いです。そうっ、殴り合いをやり始めます。二人とも顔を腫らしフラフラになりながら殴り合い、倒れるものかと意地だけで立っている状態です。
この時の二人もかっこいいなぁと思いました。ポルコがかっこいいのは最初からわかっていることですが、カーチスもこの陸での戦いで好きになりました。
この二人の戦いの結果は意地とプライドの強い者が勝利しました。もちろんポルコです。カーチスは負けましたが、お互いの実力を認め合っていて、この先二人は幾度となく戦うことになり、その度に二人の絆が深くなっていくのだろうなぁと感じました。
もしこの先ポルコが、ある飛行艇乗りの卑怯な手口で重傷を負うことになってしまったなら、その飛行艇乗りに対しておそらくカーチスは黙っていないだろうなぁ、と感じました。
「飛ばない豚は、ただの豚だ」
宮崎駿監督は子供が楽しめる作品を数多く作ってきました。しかし、本作は「中年男性」に観てもらいたいという思いで製作された作品らしいです。確かにこの映画は子供向きではないと思います。特に男性が好む作品であり、子供ではなく大人がより楽しめる作品だと思います。
ポルコが言ったセリフで「飛ばない豚は、ただの豚だ」というのがあります。これはほんとに有名なセリフで、この映画を観た方であれば記憶に残ったであろう言葉です。「飛べない豚」ではなく「飛ばない豚」というのが、この映画の中に込められた宮崎駿監督によるメッセージだと思いました。
「飛べない」のであれば仕方ないかもしれません。しかし、飛べるにも関わらず「飛ばない」のであれば、それは「ただの豚」だということです。いつまでも飛び続けるであろうポルコのように、私も飛び続けたいと思いました。ハードボイルドでロマンが詰まった本作「紅の豚」、とっても素晴らしい作品だと思います。
- Comment(2)
- [ アニメーション映画 ] スタジオジブリ 宮崎駿
ポルコって監督自身なんじゃないか、とひそかにかんぐっております。
あえて姿を豚にしたのは、自分の分身を二枚目に描くことに照れがあったのかな?なんて。
ともあれ映画館で観てから十余年、今観たら違った感想を持つかもしれません。
若い頃読んだ本が年齢を重ねてから読み返すと印象が変わるように、子供の頃観たきりという人にも、大人になってから見返してほしい映画だと思います。
- 2010/06/21
- 足軽手軽さん
こんばんは、足軽手軽さん。
コメントありがとうございます。
そうですねぇ。
宮崎駿作品の中でも異質な作品ですし
見てもらいたいというよりも作りたいものを作品にしたように思えます。
あと監督自身というのも有り得ますねっ。
足軽手軽さんは本作を映画館で鑑賞されたんですねっ。
本や映画など、子供の時と大人になってからでは印象や感じることが違ったりしますもんねっ。
子供の時にはハードボイルドなかっこいい大人たちに憧れ、そして大人になってから自分と照らし合わせるというのもまた楽しいと思います。
何度も観ている作品ですが、
やっぱりおもしろい作品だと思います。
ご訪問ありがとうございました(^^)
- 2010/06/21
- パッチさん
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