バタフライ・エフェクト
【 ストーリー・あらすじ 】
アシュトン・カッチャーが、心理学を学ぶ大学生エヴァンを演じる。彼は子供のころの日記を読み返して、自分の過去を訪れ、トラウマになっている出来事を変えることができることに気づき、以前の不幸な結果を良くしたいと願う。だがその代わりに、「バタフライ・エフェクト」というカオス理論による向こう見ずな経験が、悪夢のように続く様々な出来事となる。
【 出演 】
アシュトン・カッチャー, エイミー・スマート, エリック・ストルツ
【 監督 】
エリック・ブレス, J・マッキー・グラバー
【 感想 】
この映画「バタフライ・エフェクト」をみなさんは鑑賞されたことがありますか?「バタフライ・エフェクト」シリーズの第1作目の作品です。とっても脚本が素晴らしく、よくできたストーリーですのでサスペンスや時間軸が変化する作品が好きだという方はぜひご鑑賞ください。
なんとなくですが、以前観たB級映画の「タイムアクセル12:01」や「オーロラの彼方へ」などにも似てますよねっ。あと、本作のエリック・ブレスと J・マッキー・グラバーのコンビは「デッドコースター」の原案も書いているということですので、「デッドコースター」をお好きな方も楽しめると思います。あと今回は完全にネタバレになっていますので、まだ鑑賞されていないという方は鑑賞後に読んでくださいねっ。
「カオス理論」の「バタフライ効果」
小さな蝶が羽ばたくと、地球の反対側で竜巻が起こる事もある
「カオス理論」というのを聞いたことがありますか?その中でも「バタフライ効果」(butterfly effect)が本作のタイトルになっています。意味は「最初の小さなことが時間の経過とともに変化が拡大していき、その結果予測不可能な大きなことが起こる」ということです。
例えば身近のことでいえば「高速道路の自然渋滞」もそうですよねっ。最初の一台目がスピードを緩めた結果、その後ろの車がブレーキを踏み、それが繰り返された結果、長距離に及ぶ渋滞になることもありますよねっ。これを「バタフライ効果」と呼びます。
この「バタフライ効果」が本作のタイトルであり、テーマとなっています。小さなことが、時間と共に大きな変化をもたらす物語です。複雑なストーリーと構成ですが、とてもわかりやすく作られているので構えることなく楽しむことができると思います。
時々、記憶を喪失する少年エヴァン (アシュトン・カッチャー)
少年のエヴァン(アシュトン・カッチャー)はたまに記憶が部分的になくなってしまうという症状に悩まされます。記憶を無くさないために毎日日記を付けてみたりしましたが、効果がないんですよねぇ。
記憶がない部分というのは、だいたいがとっても大切な部分なのです。気がついた時には「後の祭り」で、事件が起こっていたり周りの人が悲しんだり、もしくは自分が傷ついていたりと、知っておきたい記憶の部分がごっそり抜けてしまっているのです。
これはすごいですよねぇ。観ていてびっくりしました。「あれっ?編集ミスっているのかなっ?」と思ってしまうぐらい、シーンが一気に変わったりしますもんねっ。なんといっても友達3人いるのですが悪い子ばかりですねっ。ひどいいたずらだったり、事件にまで発展してしまうようなことばかりしちゃってます。まぁいわばこれが伏線ですよねっ。
大学生になったエヴァンはとっても頭が良いんです。記憶を無くすことも無くなって、普通に過ごしていたエヴァンですが、あることがきっかけとなって失っていた記憶を取り戻すことができるようになったのです。それが小さい頃から欠かさず書いていた「日記」です。日記を読むことにより、その時の状況に戻ることができるのです。そして失った記憶の部分を知ることができるのです。
「なるほどっ!このような展開か!」と引き込まれました。「これで無くした記憶の部分を辿っていくと、すごい真実が待っているんだなぁ~」と考えながら観ていましたが、さら上をいってましたねっ。
少年だったエヴァンに戻っても意識や意思は大学生のエヴァンのままなんです。なので記憶とは違う行動を起こせば、現在を変えることができるということなんです。簡単に言えば「バック・トゥ・ザ・フューチャー」みたいなものです。過去が変われば現在(未来)が変わるんです。
新たな人生
小さい頃から日記をつけていたおかげで、その日記により過去に戻ることができるようになったエヴァン。1つのメリットとして失った記憶を取り戻すことができる。そして、もう1つが過去を変えることによって、現在(未来)を変えることができるのです。エヴァンにとって日記は、タイムマシーンみたいなものなんです。
過去を変えて現在に戻って来ると、幼い頃好きだった幼なじみの女の子ケイリーと付き合っているのです。すごいことですよねぇ。「あの時、あのようにしておけば・・・」ということがみなさんにも少なからずあると思います。そのような力がもし私が持っていたら、いつに戻ろうかなぁ?とっても羨ましい能力です。
ただこの映画のタイトルは何でしたか?そうっ、「バタフライ・エフェクト」。「カオス理論」の「バタフライ効果」を意味します。ですので、過去をエヴァンが変えたことにより、思っている以上に大幅な変化が起こるのです。
それがプラスに働くこともあれば、もちろんマイナスに働くこともあるんです。エヴァンがいい方向にいったとしても、他の誰かが奈落の底に叩きつけられてしまうことだってあるということです。
個人的にエヴァンが刑務所に入れられてしまうところなんかは好きです。特になんてことありませんが、それまで日記は手元にあって当たり前の状況でしたが、刑務所ではそうはいきません。同じ独房の男に頼んで、抑えてもらっている間に日記を読んでいるところは好きです。
日記は危険
エヴァンのお父さんは死んでしまいましたよねっ。あの時、なぜお父さんはエヴァンを襲ったのかなぁという疑問が途中ありました。頭がおかしいから?決してそんな単純な物語ではないと思っていたので、わかった時は納得しました。
エヴァンのお父さんはおかしかったのではなく、エヴァンと同じく過去に戻り未来を変えることができたんですねっ。そしてエヴァンを殺そうとしたのは、過去を変えることによっていいことが起こるとは限らないということをお父さんが知っていたからなんです。
前半部分で張られていた伏線が徐々に明らかになっていくのは、やっぱり気持ちいいものです。映画「メメント」の時もそうでしたが、「これはどういうこと?」と思っていたら「あっ、なるほど!そういうことか!」という展開が繰り返されるので、飽きずに鑑賞できます。「次はどうなるの?」と惹き付けられてしまいます。なのでこのような構成は大好きです。
ラストは切ない愛の物語
それにしても、エヴァンが初めてケイリーと出会った時に戻り、初対面のケイリーに向かって「近寄るな、近づいたら殺すぞ」みたいなセリフを耳元で言いますが、あれは・・・悲しすぎますねぇ。その結果何年後かにエヴァンとケイリーはすれ違いますが、ケイリーはエヴァンに気づくはずも無く通り過ぎてしまうのです。そのあとにエヴァンが困惑のあとに見せる笑みがとても感動しました。
ケイリーの親は離婚しましたが、母親ではなく最悪な父親の元にケイリーは引き取られたんですよねっ。その理由が、ケイリーはエヴァンと離れるのがイヤだったから・・・。そうっ、最悪な父親と一緒に暮らしてでもケイリーはエヴァンの近くにいたかったのです。
なので、エヴァンはケイリーを幸せにするために、わざとケイリーに嫌われるようなことを言ったのです。これほど愛に溢れている2人が、なぜ引き離されなければいけないのか・・・。これが誰も変えることができない運命というものなのかもしれません。とっても切ない愛の形だったと思います。
4種類のバージョンの別エンディング
この映画には4種類の別のエンディングが存在するのを知っていましたか?もしかしたら、この私のレビューを読んでいただいた方の中には「そんなエンディングじゃない!間違ってる!」と思われた方もいるかもしれませんねっ。その方は私とは違うバージョンのエンディングを鑑賞されたのだと思います。ですので、今回はそれぞれ4つのエンディングをご紹介したいと思います。
劇場公開版のエンディング (今回紹介したエンディング)
精神病院に収容されたエヴァンがケイリーとの最初の出会いのパーティの時点に戻る。彼女に「近寄るな、近づいたら殺すぞ」と告げケイリーとの接点を無くす。その後ラストシーンで、大人のエヴァンはケイリーと道ですれ違うが声をかけることなく立ち去る。そして、Oasisのエンディング曲が流れる。
DVD封入の別エンディング (Stalker Ending)
ラストシーンでケイリーと遭遇したエヴァンがその場では話しかけないがケイリーの後を追って行くバージョン。
DVD封入の別エンディング (Happy Sappy Ending)
ラストシーンでケイリーと遭遇したエヴァンが振り返ってケイリーに声を掛ける。彼女と今後つき合う未来を予感させて終わるハッピーエンドのバージョン。
ディレクターズカット版エンディング
精神病院に収容されたエヴァンが最後に観たホームビデオは、お母さんが産気づいた状態でベットで運ばれているシーン。戻るのは出産時の母親の胎内。エヴァンは自らのへその緒を首に巻いて、生まれること自体を阻止する。そして、お母さんが誰かと結婚していて赤ちゃんが生まれて幸せそうなシーンや、ケイリーの幸せそうな結婚式のシーンの映像が流れる。
このように4つのバージョンのエンディングが存在します。みなさんは鑑賞されたものはありましたか?劇場では今回紹介した1番目で「劇場公開版」でしたが、当初は4番目の「ディレクターズカット版」のエンディングで劇場公開される予定だったみたいです。どういう理由で1番目になったかはわかりませんが、内容からして、4つ目も良さそうですよねっ。
「もし誰かがこのメモを見つけたならそれは僕の計画が失敗した証拠、その時僕は死んでいる。でももし僕が最初に戻れたらその時はきっと彼女を救えるだろう」
という言葉を紙にエヴァンがラストに書いていましたが、当初の「ディレクターズカット版」のエンディングだったからこその言葉だったのだと思います。その方がこの言葉の意味が成立しますもんねっ。しかも「劇場公開版」ではエンディングが変更されたことによりカットされたいくつかシーンがあったみたいですが、「ディレクターズカット版」ではカットされたシーンも追加されているみたいなので、そちらも合わせて鑑賞してみたいですよねっ。
みなさんはどのエンディングが好きですか?私は今回紹介した「劇場公開版」しか観ていないですが、「劇場公開版」と「ディレクターズカット版」が好きですねっ。「劇場公開版」は一番恋愛要素が強くなっていて、ラストの切ない愛が感動を誘います。そして「ディレクターズカット版」はどんでん返しの要素が強くなっていて、サスペンスがお好きな方がより楽しめる作品になっていますねっ。
やはり、好きなジャンルによって、どのエンディングが好きかというのが変わってきそうな気がします。本作が気に入った方は、すべてのエンディングを見比べてみるのもいいと思います。
- Comment(2)
- [ サスペンス映画 ] ミステリー 大どんでん返し
今この映画のDVD観ました!
面白かったです!
僕が観たのは「劇場公開版」のエンディングでした。
好きな人の人生を壊さないために、始めから接点をなくすというのが、なんとも切なくていいですね!
最後は「日記」ではなく「ビデオ」で過去を変えるんですね!ここのシーンがこの映画の最初のシーンだったのですね。
それにしてもケイリーが、いろいろな設定の時に、こんなにも変わるのかっってほど、別人に見えました・・。
- 2010/05/11
- マサカズさん
こんばんは、マサカズさん。
コメントありがとうございます。
今日アップしたばかりなんですが、早速鑑賞されたのですねっ。
とても嬉しいです。ありがとうございます。
そして楽しんでいただけたみたいで良かったです。
4つのエンディングがある作品ですが
マサカズさんも私と同じ劇場公開版を鑑賞されたということで
冒頭のシーンとラストが繋がり、切ないラストが良かったと思います。
難しい構成なのですが、とてもわかりやすく作られていましたねっ。
私もとても楽しめました。
子供時代から大人になるまで、たくさんの俳優さんが演じていたので
似た感じの人が見つからなかったのかもしれませんねっ。
楽しんでいただけてよかったです。
ご訪問ありがとうございました(^^)
- 2010/05/11
- パッチさん
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