容疑者Xの献身
【 ストーリー・あらすじ 】
惨殺死体が発見され、新人女性刑事の内海(柴咲コウ)は先輩と事件の捜査に乗り出す。捜査を進めていくうちに、被害者の元妻の隣人である石神(堤真一)が、ガリレオこと物理学者の湯川(福山雅治)の大学時代の友人であることが判明。内海から事件の相談を受けた湯川は、石神が事件の裏にいるのではないかと推理するが・・・。天才物理学者の湯川と天才数学者の石神の戦いが始まる。
ベストセラー作家・東野圭吾の長編ミステリーを、福山雅治ほかTVシリーズのスタッフ&キャストで映画化。無償の愛に衝き動かされた天才数学者の究極のトリックに、天才物理学者“ガリレオ”こと湯川学が挑む。
【 出演 】
福山雅治、柴咲コウ、堤 真一、松雪泰子、北村一輝、品川祐、真矢みき、ダンカン
【 監督 】
西谷 弘
【 原作 】
東野圭吾
【 感想 】
この映画「容疑者Xの献身」をみなさんは鑑賞されたことがありますか?テレビドラマ「ガリレオ」の映画化作品です。ドラマシリーズでの「ガリレオ」はほんとに人気が高かったですよねぇ。その映画化ということで、ドラマを鑑賞されたという方には、より楽しんでいただける作品になっていると思いますので、ぜひご覧ください。
テレビドラマシリーズ「ガリレオ」の映画化
みなさんはテレビドラマの「ガリレオ」は鑑賞されましたか?私はすべてではないですが、だいたい観ました。とってもおもしろかったので「きっとこれは映画化されるだろうなぁ」と思っていましたが、やはり映画化されましたので嬉しかったです。
ストーリーから考えて、原作があるなしに関わらず、続編が作りやすいですし映画化もしやすい作品のかもしれません。なので、さらなる映画化も期待したいです。
テレビドラマの時と同じく原作は東野圭吾さんということで、原作を読まれている方もけっこういるでしょうねぇ。ただこの映画化に関しては、原作を読んでからの鑑賞の方とそうでない方で評価がかなり違うみたいです。
先ほどもいいましたが、私はとても楽しませてもらったのですが、原作を読まれた方にとっては今回の映画化はそれほど満足のいくものではなかったみたいです。やはり小説の映像化というのは難しいものがあると思いますし、尺というのも1つの壁になっていると感じました。ですので、映画を観たあとに原作を鑑賞するのがいいと思います。
主要登場人物の紹介
湯川 (福山雅治)
大学の准教授で、天才物理学者。
変人ガリレオとも呼ばれており、非論理的なことは信じない。これまで数々の難事件を解いてきた。
内海 (柴咲コウ)
刑事課の新米刑事。
難事件のたびに、湯川に助けを求めている。
湯川を変人と思っている一方で、かなり信頼している。
石神 (堤真一)
平凡な高校の数学教師。
しかし、湯川が唯一認める天才数学者。
山登りが趣味で、数学以外にはほとんど興味がない。
花岡 (松雪泰子)
殺人事件の容疑者。
昔ホステスをしていたが、今は弁当屋を開店。
石神が住むアパートの隣の部屋に娘と2人で住んでいる。
湯川(福山雅治)と内海(柴咲コウ)
この2人のやり取りはやはりドラマ「ガリレオ」において見所です。まるで水と油のような正反対の2人ですが、お互いの性格をきちんと分かり合っていて、絆があるんです。
しかし、今回はミステリーがとても複雑な分、どうしても尺が足りなかった感じを受けました。ですので、湯川はともかく柴咲コウが演じる刑事内海は進行役といった感じになっていたかもしれません。
個人的には2部作ぐらいにして、ドラマシリーズの「ガリレオ」の良さをもう少し加わっていれば良かったのになぁと思いました。ただドラマありきの映画なのでドラマの延長戦でこの作品を鑑賞するのがいいかもしれません。なので、映画を鑑賞する前にドラマシリーズの「ガリレオ」を観ておくとより楽しめると思います。
天才数学者 石神 (堤真一)
これまでに物理学者の湯川は刑事でもないのに、数々の事件を解決してきましたよねっ。まさに天才です。しかし、そんな湯川が認める天才と呼ばれる男がいるのです。それは湯川と同じ大学に通っていた石神という男なのです。
彼は数学に関しての才能は素晴らしいものを持っていて、物理学者の天才が湯川なら石神はまさに数学者の天才。そんな彼が湯川の前に立ちはだかるのです。
天才数学者である石神を演じたのが堤真一なんですが、ほんとに演技がうまいですよねぇ。彼の演技がこの作品をより素晴らしいものにしていたと思います。単に頭がいいというわけではなく、性格がとてもうまく表現されていましたし、感情移入がとてもしやすかったです。素晴らしい俳優さんです。
天才物理学者 VS 天才数学者
やはり本作の見所の1つとして天才同士の戦いがあります。といいましてもやはり少し尺が足りなかったのかなぁと感じる部分はありましたが、それでも2人とも天才だなぁと感じさせるシーンがいくつもあったと思います。
個人的には、天才物理学者の湯川が「難しい問題を作るのと、それを解くのとではどちらが難しいか?」「ただし答えは必ず存在するとする」と天才数学者の石神に問題を出すところが好きです。まさに戦線布告ですよねっ。「完全犯罪をする(難しい問題を作る)」、そして「完全犯罪の謎を解く(難しい問題を解く)」ということで、このシーンから2人の戦いが始まるんです。
この2人の戦いは、単なる知能戦というわけではないんですねっ。問題を出す側と解く側、2人はそのような図式でありますが、お互いを尊敬し合っていますし認めています、そして何よりも友人同士なわけです。天才同士の戦いという図式だけでもおもしろくなりそうな設定ですが、やはりこの2人の関係が物語をおもしろくしているので良かったと思います。
完全犯罪のトリック と ラストのどんでん返し
この映画の魅力はやっぱり完全犯罪のトリックです。きちんと伏線も張られていたのでわかりやすく作られていました。途中伏線に気づいたのもあって、いくつかはトリックや謎がわかった部分もありましたが、やっぱりラストはやられてしまいました。
そして、個人的に好きな感じのラストだったので楽しむことができました。やっぱり堤真一の演技がラストを盛り上げていたと思います。
お互いを知り尽くした天才同士の戦い、お互い尊敬しあい認め合っているからこそ成立するトリックなども良かったです。もう一度観てみたいなぁと思いました。そしてまた新たに「ガリレオ」の映画化をしてもらいたいです。
石神のトリックと愛(ネタバレ)
石神はほんとに天才です。そして彼のトリックは完璧でした。なんといっても彼が「もう1つの殺人」を行なっていたのは、衝撃的でした。靖子と美里が富樫を殺した翌日に石神は路上生活者を殺して、その死体を警察に富樫と思い込ませたのです。これにより犯行日時は実際の日の翌日となり、靖子と美里はアリバイを作ることができたのです。
これにより靖子と美里には完璧なアリバイがあり、警察の聴取にも全く嘘をつく必要がなかったのです。もし嘘のアリバイであれば、靖子と美里は警察の鋭い追求に耐えられないだろうと、石神はそこまで考えて殺人まで犯して二人に完璧なアリバイを作ったのです。
そして警察の目を靖子と美里の二人から自分へ向けさせるために、石神自身のアリバイは曖昧なものにしていたのです。
「もう1つの殺人」にはまだ理由があります。石神は切り札として「自ら出頭する」という手段を初めから考えていました。しかし、やはり人間なのでいざその時が来るとなかなか決心が付かないかもしれない。そこで自分にも重荷を背負い込ませるために、関わりのない人を殺したのです。
靖子と美里を守るために、自らも別の殺人を行なった石神。彼の二人に対する想いの深さが伝わってきます。まさに無償の愛、彼にとって靖子と美里がどのような存在だったのか、その想いの大きさがとても伝わってきました。
湯川の想い
おそらく湯川は今回の事件に関わってしまったことを後悔したでしょう。それほど辛く苦しい事件だったと思います。彼は警察に特別な捜査協力はしていません。それはこの事件に友人の石神が関わっているから・・・。だからこそ彼は石神が隠している真実を靖子に語ったのだと思います。
石神のトリックは完璧です。改めて石神の頭の良さを湯川は実感したと思います。そして、石神がどのような想いで靖子と美里を助けようとしていたのかも理解していました。しかし、湯川はどうしても納得できなかったのです。石神がすべてを背負ったまま罪を償うということを・・・。
もちろんこのまま全てを背負うことを石神が望んでいることはわかっています。しかし、彼が背負ったものがいかに大きく、どれほどの決意を持っていたのかということを、靖子や美里はもちろん誰にも知られることなく終わってしまうことに耐えられなかったのです。
この湯川の想いに関しては、原作でより詳しく表現されていたと思います。
靖子の想い
靖子は完璧なアリバイを持っていましたし、警察の追及も思っていたよりも激しくなかったと感じていたでしょう。そしてそれは石神さんのおかげだと感謝していたと思いますが、彼女はこの事件の真相を知らなかったのです。
石神さんが死体を処分してくれて、適切な言動・行動を指定しもらい、石神さんが罪を被って出頭。これだけでもすごいことですし、靖子はほんとに申し訳ない想いでいっぱいだったと思います。
しかし、実際に石神が背負っていたものはもっと大きく、それを湯川から聞かされた靖子は、この時ほど罪の意識を感じたことはなかったと思います。おそらく、自分が殺人を犯したこと以上に、石神さんにさせてしまったことに、より罪を感じていたに違いありません。
だからこそラストでの二人の号泣はほんとに胸が痛かったです。どちらの想いも強く大きく伝わってきました。
- 東野圭吾の小説「容疑者Xの献身」 (映画原作)
- 東野圭吾の小説「白夜行」 (映画・ドラマ原作)
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人生を間違える。石神の思考回路が変だ。孤独に弱い。数学という友達がいたんじゃないのか? 石神は さみしい悪魔に取り付かれた 愛の方程式を知らない。宗教と哲学と政治の話(他)になるので 長くなるので じゃーねぇ
堤真一さんは あのレストランで 金が人生といいましたが その後 いかかですか?ある ウェイターから 聞きました。
福山雅治さんへ ガリレオの この事件 考えさせられました。龍馬もがんばってください。
- 2010/01/05
- 村石 太581号 名古屋さん
こんばんは、村石 太581号 名古屋さん。
コメントありがとうございます。
石神の気持ちや考え、そして歩んできた道というものを
とても深く考えられていますねっ。
まさに石神は数学という中でしか生きる術を知らなかったと思います。
人生を歩む上では不器用で
映画のラストを迎えることになったのでしょうねっ。
それにしても堤真一さんは素晴らしい演技だったと思います。
またガリレオの映画化をしてもらいたいです。
ご訪問ありがとうございました(^^)
- 2010/01/05
- パッチさん
年末にテレビでやってましたね
堤さんの演技がすごくよかったです
- 2010/01/05
- ぱるさん
こんばんは、ぱるさん。
コメントありがとうございます。
年末のテレビで放送されていましたねぇ。
とても面白かったです。
ラストも素晴らしく、堤真一さんの演技がほんとによかったです。
素晴らしい俳優さんですねっ。
ご訪問ありがとうございました(^^)
- 2010/01/06
- パッチさん
あれ?パッチさん、邦画のレビューって
凄く珍しいですねっ!
今年は、何か心境の変化でもあったんですか?w
でも、さすがですね~!
レビューが、いつもながら、理路整然としていて
素晴らしいです^^
私の好きなB’zの歌で「恋心」という曲がありますが、
恋だけは、学校の授業でも、先生でも明快な答えを
出してはくれませんよね。
それほど、人の気持ちと言うのは、複雑で奥が深く、
捕らえ所が無いものなんだと思います。
数学や、物理のようにあっさり、すっきり解答出来るのなら、
もっと楽なんでしょうけれどね^^;
石神さんを演じた堤さんは、さすがの演技力で
引き込まれました。
一見、人生の成功者のように見えた人生の転落劇の
中で見つけた一筋の希望の光。
その希望の光を失わない為には、最大のタブーも恐れない。
悲しいかな。人間はやはり、孤独には耐えられない生き物なんでしょうね。
最後は本当に哀れみ気持ちがどっと沸いて来て、胸が苦しくなりました。
また、ガリレオの映画、見てみたいですね!
応援凸
- 2010/01/07
- ぴーちさん
こんばんは、ぴーちさん。
コメントありがとうございます。
そうですねぇ。
邦画自体あまり鑑賞していないというのもあって
レビューも少ないのですが、
テレビドラマの時から見ていたというのもあって
この映画はとても楽しむことができましたので
今回紹介させていただきました。
B'zの「恋心」は聴いたことあります。
やはり恋愛に方程式なんてありませんもんねっ。
これほど難解な問題はないと思います。
答えのないものだからこそ、今ある形が答えでもあって
答えがわかるまでの過程でもあるのかもしれませんねっ。
堤真一のラストの演技は本当に素晴らしかったです。
あの演技があったからこそ、ラストに感動できたのだと思います。
ミステリーも素晴らしかったのですが
人間味溢れる物語になっていたのがこの映画の魅力ですねっ。
一般的にはささやかな光ですが、
それが人によっては輝かしい光となり、
心を照らしてくれることもあるんですねっ。
それはやはり数学では導き出せないものだったのでしょうねっ。
またガリレオの映画を観てみたいです。
応援ありがとうございます。
ご訪問ありがとうございました(^^)
- 2010/01/08
- パッチさん
こんばんは☆
この作品、昨年DVDで鑑賞しました。
私は「やすこ」からの目線で見てしまい、ラストの主題歌の流れる東京湾の描写には、不覚にも涙してしまいました。
>お互いを知り尽くした天才同士の戦い、お互い尊敬しあい認め合っているからこそ成立するトリックなども良かったです。
パッチさんは、男性目線でご覧になっていらっしゃいますネ!
とても良い作品でしたね~。
*********************
ところで、今月も「ブログ DE ロードショー」 のご案内に参りました。
作品名:『パコと魔法の絵本』
(2008年・日本製作作品 監督は中島哲也です)
今月の、この作品を選んでくださったのは、 「茶栗鼠の映画評論 」 の 茶栗鼠さんです。
(http://tyanndora.blog50.fc2.com/blog-entry-530.html)
(茶栗鼠さんは、この企画に第3回目から参加して下さっています☆)
お選びになられた理由は
☆最近の邦画は不作で、面白くない作品たちばかりなのに、この作品は独創的で全てにおいて満点だったからです。
☆全面の雰囲気に反比例して、邦画で難なく泣ける映画だからです。
・・・との事です。
鑑賞日は4月23日(金)~25日(日)の三日間です。(お忙しくてご都合の悪い場合は後日でも結構ですよ~!)
是非、パッチさんと、一緒の時期に、同じ映画を見て、ワイワイ言い合いたいと思います。
(感想・レビューは強制ではありませんが、作品を選んでくださった方には、必ず書いて頂きます)
なお、このDVDは、多くのレンタルのお店に、存在するとおもわれますので、宜しくお願いしますネ☆
- 2010/04/16
- miriさん
こんばんは、miriさん。
コメントありがとうございます。
この作品はドラマの時から鑑賞していましたので
映画も楽しませてもらいました。
でも、同じ鑑賞でも目線の違いがあるのがおもしろところですねっ。
はいっ、私は完璧に男性目線でこの映画を観ていました。
この映画はかなり気に入りましたので
DVDがほしいと今思っています。
そして、今回も「ブログ DE ロードショー」にお誘いいただきまして
ありがとうございます。
「パコと魔法の絵本」はまだ鑑賞していませんので
観てみたいと思っていました。
4月23日(金)~25日(日)の期間ということで
やはり今回もその期間内での鑑賞は難しいのですが
遅れると思いますがぜひ鑑賞させていただきたいと思います。
では鑑賞できる日と共に
みなさんのレビューも楽しみに待ちたいと思います。
お誘いいただきましてありがとうござました。
ご訪問ありがとうございました(^^)
- 2010/04/16
- パッチさん
昨日この映画のDVD観ました!!
近くのDVDレンタル店で、「チャイナ・タウン」も「プレッジ」置いてなかったので、このDVDを借りてきました。
とても面白かったです。
ドラマ「ガリレオ」は一度も観た事ないのですが、映画「単体」としてもとても面白いですね!!
最後のどんでん返しは、まんまと騙されました・・。
映画で騙されるのは面白いですよね??!
今度は何を借りようかとまたこちらのサイトで探してます!!
またオジャマしますね!!
- 2010/04/24
- マサカズさん
こんばんは、マサカズさん。
コメントありがとうございます。
本作を鑑賞されたのですねっ。
とても嬉しいです。
ドラマ「ガリレオ」を映画化した作品なのですが、
単体でも楽しめると思います。
ストーリーがよくできていて、私もラストはやられてしまいました。
騙されるのはおもしろいです。綺麗に騙されれば騙されるほど、清々しさがあります。
また映画化してもらいたいなぁと思いました。
はいっ、いつも参考にしていただきありがとうございます。
またマサカズさんが楽しんでもらえるような作品が見つかれば嬉しいです。
ご訪問ありがとうございました(^^)
- 2010/04/24
- パッチさん
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- 「容疑者Xの献身」観ました
年末年始の休みに入って、のんびり過ごしています昨日は、昼からガリレオの再放送ずっと見てました今まで見たことなかったんですが、けっこう面白かったですその流れで、夜は「容疑者Xの献身」を観ましたテレビ局の計略にまんまとハマりましたね堤真一さんがいい演技して?...
- 【星を枕に月を見る】
- 2010/01/05
名無しさん (02/01)
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