映画「プレッジ」の解説と解釈
みなさんは映画「プレッジ」を鑑賞されましたか?以前の記事で映画「プレッジ」を紹介しましたが、ジャック・ニコルソンが素晴らしい演技を魅せてくれていましたねっ。ほんとに素晴らしい俳優さんだと思います。
しかし、ちょっと深く難しい作品なのでラストを理解するのは大変だったと思います。なので私の解釈ですが、いろんな謎を考えてみたのでご参考になれれば嬉しいです。またみなさんの解釈と比較などしていただいて楽しんでもらえれば嬉しいです。あと完全にネタバレなので、まだ鑑賞されていないという方は鑑賞後に読んでくださいねっ。
タイトル「プレッジ」の意味とは・・・?
Pledge「約束、誓い」。
この映画タイトルの意味からわかるように、この物語はジェリーが殺された少女の母親との「約束」と十字架への「誓い」から始まりました。定年を迎えるにも関わらず約束と誓いをしてしまったんですねっ。なので、この映画は「約束と誓いを守るために定年してまでも真犯人を探す元刑事ジェリーの物語」です・・・と言いたいところですが、そんな綺麗なものではないですねっ。
ジェリーは引退してまで真犯人を追っていましたが、それは約束を守るためというよりかは、約束をし誓いを立てたことにより「約束・誓いを守らなければならない」という呪縛から逃れられなくなったのです。
一体この少女レイプ殺人事件の真犯人とは・・・?
ジャック・ニコルソン演じるジェリーは真犯人を定年後であるにも関わらず追い求めていきます。そして犯人の目星を付けるのです。それがヤマアラシのチョコレートを少女クリッシーにプレゼントし、クリッシーが魔法使いと呼び、ヤマアラシの飾りを付けた黒い車に乗り、ラストで事故を起こして黒こげに焼け死んだオリバーという男です。
神父であり、道路整備の仕事をしていた男とは・・・?
かわいいクリッシーに近づく神父であり道路整備の仕事をしている男がいましたよねっ。彼は真犯人ではないと思いますが、とても怪しかったです。しかし、簡単にいうとクリッシーに近づく背の高い男は全員怪しいということになります。そして、観ている私たち以上にジェリーは怪しんでいるのです。なので、本当の犯人とこの怪しい男がごっちゃごちゃになって、わからなくなった人もいると思います。
ジェリーは狂っていたのか・・・?
おそらく狂ってしまっていたのでしょうねっ。精神分析医のところでも話していましたが、あの時のカメラワークがジェリーの症状を表していたと思います。なので他の刑事たちの「ジェリーはおかしくなった」という考えは間違っていなかったのです。しかし、完璧には狂っていなかったと思います。
おそらく職業病程度だったんでしょう。完全に狂ってしまったのは、ラストで犯人を捕まえられず、ロリとクリッシーに愛想を尽かされてからだと思います。その結果酒に走り、より症状が悪化したのだと思います。
ジェリーの推理は・・・?
先ほどジェリーは呪縛から逃れられなくなっていた、そして狂っていたと言いました。しかし、彼の推理はほぼ当たっていたのです。彼は真犯人がいると推理し、過去の事件から繋がりを見つけ、クリッシーを狙っていた男が真犯人だと結びつけた・・・この数々の推理はほぼ100%当たっていたんですっ。まさに腕利きの元刑事の経験と推理力があってこそだと思います。
しかし、真犯人は事故で死んでしまいました・・・。ジュリーの推理は当たっていたのに、みんなはそのことを知ることがもうできないのです。永遠に「ジェリー=ただ狂っている男」という誤解のままなのです。
狂っていると誤解されていたジェリー・・・そしていつしか完全に狂った
- 推理は当たっていたが、定年を迎えたにも関わらず解決したと思われる事件の再捜査を行っていたこと自体が、他の刑事たちから「狂っている、おかしい」と思われるきっかけになってしまった。
- クリッシーを囮にしたことにより、真犯人を捕まえるチャンスを得た。しかし、囮がクリッシーということでジェリーを襲った心配&不安が、客観的に見ている他の刑事たちとは違った行動を取らせた。その行動がより「ジェリーはおかしくなった」と思わせた。
- 囮としてクリッシーを使ったことにより、ロリの信頼を失ったどころか「ジェリーは狂っている」と思われジェリーの元から去っていった。
- ジェリーの推理を決定付けること、つまり「真犯人の逮捕」によって誤解を解くことができるが、真犯人は死に、永遠に真実が葬られた。
- ロリとクリッシーが去り、酒に溺れ、その結果職業病程度だった症状が悪化し、完全に狂ってしまった。
ジェリーが狂ってしまった一番の原因とは?おそらく真犯人が死んでしまったことでしょう。名推理のジェリーの考えと推理は100%当たっていました。なので、クリッシーを囮に使ったことは褒められることではないにしろ、真犯人が生きていればラストでクリッシーの元に必ず現れ、逮捕できた可能性があったのです。
なので、周りのみんなから「狂っている」と思われていようが、ラストで真犯人が現れていれば彼は狂うことはなかったのです。それは、周りからどんな目で見られどのように思われていようが、自分の推理に絶対なる自信があったからです。しかし、実際は真犯人は現れなかった・・・。簡単に言うとジェリー自身が自分の推理を信じられなくなったというのが、ジェリーが狂ってしまった一番の理由なのです。
もう彼の推理が正しかったという証拠はどこにもありません。真犯人が焼死体となってしまいましたもんねっ。ほんとにこれはやるせなく、歯がゆい気持ちになります。そして、なにしろジェリー本人が自分の推理が正しかったというのをもう知ることはもうできませんし、真犯人が死んでいるというのを知らないままだというのが悲しいことです。
この映画の見所とは・・・?
この映画「プレッジ」はミステリー作品なのかもしれません。しかし、決して犯人当ての映画ではないんです。犯人の顔や名前などどうでもいいんです。ただジェリーの推理が当たっていたということが伝わりさえすればいいのだと思います。
ならばこの映画の見所とは何か?それはジェリーがどのようにおかしくなってしまったのかというのを楽しむ作品なのです。狂っていておかしなジェリーのオープニングのシーン、どのようにしてそのオープニングのようなジェリーに変わっていってしまったのか・・・?そのところを楽しむ作品なんです。
一見、犯人当てを楽しむ映画かのようにミステリアスな雰囲気を漂わせることにより、観客を推理をしていくジェリー目線にさせ、ジェリーを正当化させる。そんな正当化されたジェリーがラストでボロボロに崩れ落ちる。正しいはずのジェリーが、泥沼に落ちていってしまう。そんな完全なる不条理を楽しむ作品なのです。とても奥が深い作品だと思います。これもまさにジャック・ニコルソンの名演技だからこそ成し得る作品なんでしょうねっ。
- Comment(2)
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自分もとても共感しましたよ!(^^)
きっとジャック・ニコルソンのあの演技でジェリ-という人物に深く共鳴し、見入って行くと最後の、あの結末がより深く大きいものになるのでしょうね。
本当に深い作品です。人生はこのような事もあるんだ。正義が通らない事も。なんていうのがガツンと来ますね。
救いの無い最後ですが、あの事故で少しは救われているのでしょうか?
う~ん。今考えても深いですね。そして自分の心に去来する余韻もまた、とても深いです。
素晴らしい解説をありがとうございます。(^^)
応援凸
- 2008/12/09
- ユウ太さん
こんばんは、ユウ太さん。
こちらにもコメントありがとうございます。
解説なんて偉そうなもんでもないんですが、
私の分かる範囲で、みなさんのご参考になれればと思って作ってみました。
そして共感していただけたということで、とても嬉しいです。
ジャック・ニコルソンの演技はほんとに素晴らしいですよねぇ。
彼の演技があってこそですよねっ。
まんまとやられてしまいました。
それにしてもラストは考えさせられる部分がありますよねっ。
やりきれない気持ちに襲われました。
なんといっても一番の不条理は、ラストでジェリー自身が自分の推理が間違いだったという勘違いしてしまったことですよねっ。
きっともうジェリーは自分が信じられなくなってしまったと思います。
素晴らしい解説といっていただけて嬉しいです。
またこのような作品に出会いたいです。
応援ありがとうございます。
ご訪問ありがとうございました(^^)
- 2008/12/09
- パッチさん
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