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映画「メメント」の解説と解釈

2007.10.06

映画「メメント」


 映画「メメント」をみなさんは鑑賞したことがありますか?以前ブログ内でも映画「メメント」を紹介しましたが、「10分間の記憶」という設定と過去にさかのぼるという構成は素晴らしいですよねっ。しかし、とても複雑な構成と設定の映画なので、私なりに解説と解釈を交えて映画「メメント」を解剖していきたいと思います。私個人の解釈なので、あくまでもご参考程度に読んでいただけたら嬉しいです。あと完全にネタバレなので、まだ鑑賞されていないという方は、鑑賞後に読んでくださいねっ。

「テディのウソを信じるな」


 「テディのウソは信じるな」このポラロイドに書かれたメモがなかったら…。この言葉はすごい力を持っているんですよねっ。このメモを残したことによって、メモという「記録」だけを信じる主人公のレナードは絶対にテディを信じなくなってしまったんでよねっ。どんなことを言われても…。テディの言葉が真実だとしても…。

 レナードにとっては記録したメモ・刺青が絶対的なものなんでよねっ。なので間違ったメモなどの「記録」を未来の自分(レナード)に残してしまっても、未来の自分(レナード)はその間違いに気づかないんです。記録にすべてを頼るレナードは真実を記録として残さないといけないのに、「信じたくない」という一時的な感情から「テディのウソを信じるな」のメモを残してしまったんですね。この偽りの記録がレナードを間違った道へと導いてしまったんです。

テディテディのウソを信じるな

「サミーを忘れるな」の謎


 サミーとはある事故がきっかけでレナードと同じく記憶を保つことができない人物です。そんな彼は妻に3度連続で糖尿病の注射を打ち、妻を殺してしまう。これがレナードによるサミーの説明です。

 テディの話によると、サミーに妻はおらず糖尿病だったのはレナードの妻ということですが、これが本当なら「サミーの記憶」=「自分(レナード)の記憶」ということになります。そう、妻に注射を3度打ち殺してしまったのはサミーではなくレナードということになるのです。

 なぜレナードは間違った記憶を持ってしまったのか?それはサミーという人物は実際に存在していた詐欺師で、記憶障害を装い保険金を騙し取ろうとしていたのです。そして昔レナードは元保険会社捜査員で、記憶障害を装っていたサミーの審査を行なったのがレナードなんです。

保険金詐欺

レナード(ガイ・ピアース)の記憶障害の解説


 ある日、強盗によって妻をレイプされ、レナードは犯人による頭部への強打によって、心理的ショック&脳へのダメージによって記憶障害になる。これこそがレナードが記憶障害になった原因です。しかしおそらくこれだけではこの映画「メメント」は成り立たないと思うんです。消してしまいたい過去(記憶)が作り出した「記憶の混同と摩り替え」がレナードを変えてしまったんですねっ。

  • 「妻が死んだ理由が自分(レナード)が行なった3度の注射」という消してしまいたい事実を、それを否定したいという強い感情が、「ジョン・Gが妻をレイプした」という事実を「ジョン・Gが妻をレイプして殺した」という嘘の記憶に変えてしまった。
  • 「記憶障害が原因でレナードは妻に3度の注射を行なって殺してしまった」という事実を、自分(レナード)はそんなことはしていないと思いたい強い気持ちから、同じく「記憶障害(実際は偽りだったが)であるサミーが行なったこと」という記憶に摩り替えてしまった。「記憶障害」という共通点とレナードの消したい過去という強い思いから生まれた、もう1人のサミーなのです。
  • 「サミーを忘れるな」という言葉が生んだ記憶の変化。消してしまいたい過去であるにも関わらず、忘れてはいけない…。電話で話していたようにサミー(レナード)の話を何回もしていくうちに、少しずつ記憶が変化していった。実際は主観で話さなければいけない事柄を、客観的に話すことによって「サミーがレナードである」という転化を「サミーを忘れるな」という言葉が阻止していた。

 このように妻を殺したのはレナードではなくジョン・G、そして3度の注射はレナードではなくサミー、というレナードの記憶の転化が生んだことによって生涯をかけて幾多のジョン・Gを追い求める道を歩み続ける結果になったのだと私は考えました。

3度の注射

果たして「ジョン・G」は?


 ジョン・Gはこれまでに説明してきたように、レナードの妻をレイプした人物です。決して妻を殺した犯人ではありません。しかし、ジョン・Gが妻を殺したという偽りの記憶と記録により、レナードはジョン・Gを追いかけ続けることになったのです。で、ジョン・Gはというと・・・もうとっくに死んでいます。昔にレナードはテディの助けもあってジョン・Gを見つけ出し、殺しているのです。

 ではなぜ未だにレナードはジョン・Gを追いかけ続けているのか?それはジョン・Gを殺しても10分後には、そのことを忘れてしまっているからです。なので再び新たなジョン・Gを探し出しては殺し、そしてまた探し始めるのです。

探し続ける人生

レナード(ガイ・ピアース)の人生


 レナードの記憶は10分間しか保つことができない。これは妻がレイプにあったときからずっとです。このことからレナードは常に「妻が殺された時(思い込み)+10分」の状態なんです。なのでレナードは妻を失った悲しみと犯人への怒りを決して忘れることはないのです。彼の人生は記憶障害が治るまで、一生ジョン・Gを追い求めることになるのです。

 新たなジョン・Gへの復讐を成し遂げても10分後には忘れてしまう…。メモによる証拠があろうと、「妻が殺された時+10分」で止まっているレナードは、実感のない証拠よりもその時抱いている感情が勝ってしまうんですねっ。彼の人生はジョン・Gを追い求める10分間の繰り返しなのです。

謎の真相の解説と解釈


 どうですか?私なりに分析してみて思ったことや気づいたことを書いてみました。すべてが正解というわけではないかもしれませんが、みなさんの見解などと比較して楽しんでもらえたら嬉しいです。あとこの映画を全く理解できなかったという方々のご参考になれれば嬉しいです。

 それにしてもよくできた映画ですねっ。映像として魅せるのはとても難しい内容だと思います。そう考えるとまだよくできていたのかなぁって思います。いい映画ですねっ。

その他の作品の解説と解釈

映画「メメント」のDVD

はじめまして。
「メメント」がどうしてもわからなーい、とこちらのサイトを参考にさせて頂きました。
なるほど、そうだったのか・・・・なんて観る力がないんだ、と己を省みるより、すごい分析ですね。
はてなのブログにこの記事を紹介させて頂きました。事後報告ですがありがとうございました。
それでも何か釈然としないので、今から5回目に挑戦します!!

  • 2009/09/08
  • makkomさん
 【makkomさんへ】

はじめまして、makkomさん。
コメントありがとうございます。

この「メメント」を鑑賞されたんですねっ。
そして、内容がほんとに難しいので理解するのが大変だというのもわかります。
やはり展開が複雑ですもんねっ。
そして、このサイトを参考にしていただいたということで、とても嬉しく思います。

この「メメント」の解説の記事を紹介してくださったのですねっ。
とても光栄に思います。ありがとうございます。
次は5回目ということで、どんどん「メメント」を紐解いていってくださいねっ。

ご訪問ありがとうございました(^^)
  • 2009/09/08
  • パッチさん
はじめまして。
こちらのブログを読ませていただき、メメントを見させていただきました!
本当に素晴らしい映画です!出逢わせてくれてありがとう!!

こちらの解釈の記事を読むのも楽しみにしていました。
たくさんの解釈が出来ると思いますので、私もいくつか思った事が・・・

まず、気になったのが、レナードの記憶の中に、「ジョン・Gが妻を殺した」の入れ墨の入った彼を、奥さんが抱きしめているシーンがありました。
つまり、奥さんを殺したという事実を否定したいためにねじ曲げられた記憶ではないのでは。。。?

私の個人的な印象ですが、彼は単に、自分の記憶が10分しか保たないことに怯え、生きる目的のため、自分がからっぽになってしまわないように、真実を見付けかけても、目的を達成しても、
彼の唯一自分を確認できる記憶である「復讐」の道へ、意図的に戻っているのでは?と思いました。

とはいえ、レナードの記憶は空っぽ。
誰の言葉が嘘でどのメモが真実かなんて、普通の人にもわからないことなので、だれの言葉を嘘と捉えるか一つで映画の意味もどんどん変わって行きますよね。
そこが面白い!

記憶がないレナードと同じ感覚で、でも見ている人にとっては
できごとをどんどん思い出して行く様な感覚。
本当に斬新で素晴らしい映画でした。
感謝感謝です^^
  • 2010/03/14
  • LUNAさん
 【LUNAさんへ】

はじめまして、LUNAさん。
コメントありがとうございます。

当ブログを参考にされて鑑賞されたんですねっ。
とっても嬉しいです。
ありがとうございます。
そして、解説の方も楽しみしてくださっていたというのは嬉しいです。

ほんとにこの映画は難しいですよねぇ。
構成が複雑ですもんねっ。
しかし、これが繋がったときには感動に変わるのがこの映画の魅力ですよねっ。

LUNAさんの解釈、とっても参考になります。
少し忘れてしまっている部分もあるのですが、
奥さんの部分に関しては、少し疑問も残しつつも私なりの答えを出したというのは覚えています。
ですので、LUNAさんの解釈が正しいのかもしれませんねっ。

あとレナードの人生ですが、
彼はジョン・Gを追いかける運命に陥ってしまったというのではなく、
ジョン・Gを追いかける人生を意図的に選んでいるというのは、おもしろい発想だと思いました。
この考えは私の中にはなかったですねぇ。

彼にとっては毎回新しくスタートする10分間。
しかし、その10分間と彼の人生を意味あるものとするための存在がジョン・Gと考えると
また違ったおもしろさが湧いてきますねっ。

貴重なコメントをいただけて嬉しいです。
この映画を観たいろんな人が、いろんな解釈を持たせてくれるというのも
この映画の魅力ですよねっ。

ほんとにこんな斬新な映画を作ってくれたクリストファー・ノーラン監督には感謝したいです。
とっても難しい構成と物語ですが、ある形となりえる答えを引き出してくれるヒントや伏線は絶妙で素晴らしいですよねっ。

LUNAさんに本作を楽しんでいただけて、とっても嬉しいです。
解釈、参考になりましたし楽しませていただきました。
ご訪問ありがとうございました(^^)
  • 2010/03/15
  • パッチさん
こんばんは、パッチさん。
今日この映画のDVD観ました。
正直言って「あまりよくわからなかった」のですが、一番最初と一番最後がつながってるというのが面白かったです。
「よくはわからなかった」けど「面白かった」です。
その後パッチさんの解釈を読んで、「なるほど!!」と、わからなかった部分がわかり、またこの映画の面白さも倍増しました!!ありがとうございます!
次は「プレッジ」「チャイナ・タウン」を借りてこようと思ってます!!
  • 2010/04/15
  • マサカズさん
 【マサカズさんへ】

こんばんは、マサカズさん。
コメントありがとうございます。

この映画、やはり構成が複雑ですのでわからないという方が非常に多い作品です。
10分後との記憶を徐々に辿っていく物語ですので
少しずつ繋がっていくにつれて、おもしろくなっていき
そしてラストにどんでん返しが待っているという作品ですが
斬新であるがゆえにかなり複雑ですよねっ。

ただこの解説が少しでもお役に立てて良かったです。
「プレッジ」と「チャイナタウン」はどちらもかなり似ている作品で
目に飛び込んでくる衝撃こそありませんが、ラストには感慨深い余韻を楽しむことが出来ると思います。
どちらもジャック・ニコルソン主演ということで
彼の演技もまた楽しんでいただけたら嬉しいです。
ぜひ楽しんでくださいねっ。

ご訪問ありがとうございました(^^)
  • 2010/04/15
  • パッチさん



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