時計じかけのオレンジ
2008.11.13

キューブリック作品で最もカルトな人気を誇る、ウルトラバイオレンスSF作品だ。
麻薬、暴力、盗み、暴行など、悪の限りを尽くす近未来の不良グループ。リーダー格のアレックスは、ある盗みの最中に仲間の裏切りで捕まった。その服役中に、悪人を善人に変える奇妙な洗脳実験を受け、暴力を嫌悪する無抵抗な人間となって娑婆に戻される。しかし、そんな彼を待っていたのは、かつて自分が暴力の対象にしていた者たちからのすさまじい報復だった。
アナーキーな若者の過剰なまでの暴力嗜好を、芸術的かつポップなセンスで大胆に映像化した。一度観たらとりつかれるほどの妖しい魔力に満ちた、永遠のバイブル作品だ。
【 出演 】
マルコム・マクドウェル, パトリック・マギー, マイケル・ベイツ, ウォーレン・クラーク
【 監督 】
スタンリー・キューブリック
【 感想 】
この映画「時計じかけのオレンジ」をみなさんは鑑賞されたことがありますか?1971年に公開されたスタンリー・キューブリック監督の作品です。1971年に公開ということで少し昔の作品ですが、今観てもとても斬新さもあって新鮮に感じられると思います。なのでSF映画がお好きという方は、ぜひ観てくださいっ。
しかし、内容が麻薬・暴力・盗み・暴行といったウルトラバイオレンス作品なので、お子さんなどにはあまりいい影響を与えないと思いますので、その辺りを踏まえて鑑賞してもらいたいです。
ウルトラバイオレンス 映画
まさにこの映画は「ウルトラバイオレンス」という言葉がぴったりの作品です。麻薬・暴力・盗み・暴行とめちゃくちゃな映画です。なので観るには相当な覚悟がいると思います。しかし、すべてにおいて斬新でストーリー展開や構成もしっかりしていますし、キャラ設定が完璧なほどに確立されています。まさにキューブリックの世界。キューブリック作品が大好きという方にはぜひとも観ていただきたいです。
「 ドルーグ 」のリーダー アレックス ( マルコム・マクダウェル )
…完璧にイカれてます。この男こそこの映画「時計じかけのオレンジ」をウルトラバイオレンスにした張本人です。人間が持つすべての欲望を全く制御することなく、すべてを欲望のままに行動し続けるのがアレックスなんです。そんな逸脱した彼を、十分過ぎるほどの時間を使ってキャラ紹介がされているので存在感は恐ろしいものがあります。キャラ設定の一つに、アレックスはベートーヴェンをこよなく愛しているんです。ロックではなくクラシックというのが、アレックスに神秘さを与えているのだと思います。これこそ完璧なるキャラ設定だと感じました。そんなアレックスをリーダーとする4人組のグループ「ドルーグ」が、欲に従い大暴れ。決して関わりたくないグループですねっ。


恐怖の実験
物語の中で、アレックスに対してある実験が行われるのですがすごいシーンです。目にクリップを付け目を閉じられないようにし、本人の意思を無視し、いろいろな映像を音楽と共に何回も何回も鑑賞させる。いくら大好きな映画だとしても何回も何回も繰り返して鑑賞させられたら、嫌いになってしまうかもしれませんねっ。実験は成功しアレックスは犯罪を犯すことのない・・・いやっ、犯罪を決して犯すことのできない人間になってしまいました。しかし、これは牢屋の中に閉じ込めているのと結局同じですよねっ。これは更正させたのではなく、無理やり制御させられているのであって、アレックスの中で何かが変わったというわけではないですもんねっ。それにしてもあの実験方法はインパクトありますよねっ。一度観たら忘れないシーンでした。
実験が成功して刑務所から出たアレックスですが、刑務所にいた方が幸せだったのではないかと思うぐらい社会が怖かったです。刑務所に入る前は何丁もの機関銃を持ちながら戦場をスキップするアレックスでしたが、刑務所を出たアレックスは武器を持たずに戦場に放たれたかのように怯えていましたねっ。もちろん彼の今までの悪行が悪いのですが、わかっていても怖かったです。特に・・・2人の警官・・・怖すぎました。警官2人の顔が見えたときは怖くて少し震えました。「 もう完璧に治ったわね 」
アレックスは病院で元の自由奔放な性格に戻りました。そして言われた言葉が・・・「もう完璧に治ったわね」。確かに元には戻りましたが、本当に治ったと言えるのでしょうか?あの欲のままに行動するアレックスが正常な状態と言えるのでしょうか?そしてそんなアレックスを見て「もう完璧に治ったわね」と言った人も正常とは言い難いですよねっ。なんとも皮肉で深い表現で、そのへんがおもしろかったです。あとアレックスが完璧に治り、前のような欲がままに行動する生き物に戻りましたが、もしかするとさらなる超ウルトラバイオレンスに進化してしまったという解釈もできるかもしれません。暴力的な部分を封印するために行った実験が、逆に進化した超暴力な生き物を創り上げてしまったと考えるとこれまた皮肉な話ですよねっ。まぁでも、この解釈だと映画に深みがなくなるのかなっ?でもラストの「もう完璧に治ったわね」という言葉はいろいろな解釈ができて楽しめると思います。
ウルトラバイオレンスの世界
アレックスという男は本当にイカれていていますよねっ。しかし、イカれていたのは彼だけだったのでしょうか?違いますよねっ、彼を取り巻く環境すべてもイカれていました。彼のグループ「ドルーグ」のメンバーを始め、家族、刑務所、科学者、政治家・・・すべての人たちが狂っていて、まともな人はいなかったように思えます。そう考えると、アレックスという男が存在したのも必然だったのでしょうねっ。
この映画の設定は近未来ということですが、公開された1971年と今では犯罪も変わってきていますよねっ。昔では考えられない事件が数々起こっていて、毎日のようにニュースで報道されています。今の子どもたちが親になったとき、もしかしたら今では考えられないような事件が起こるのかもしれません。子どもの置かれる環境、とても考え深いものがあります。この「時計じかけのオレンジ」のような世界がやってこないことを祈りたいです。
キューブリックの映像センス
「2001年宇宙の旅」を観て、映像の素晴らしさを思い知らされ、キューブリックの映像センスに対して多大なる評価を持つ私ですが、この「時計じかけのオレンジ」でさらに評価が上がってしまいました。独特で斬新なカメラワーク、早送りやスローモーションを使ったシーン、これほどまで映像というものが力を持ち訴えかけてくるものだとは思いませんでした。観客を惹き付ける術を心得ているんですよねっ。しかもこれが1971年の作品ということで、これまでの作品に大きな影響を与えてきたのでしょうねっ。


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