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時計じかけのオレンジ

11.13

時計じかけのオレンジのDVDジャケット


 【 ストーリー ・ あらすじ 】

 キューブリックのウルトラバイオレンスSF作品。麻薬、暴力、盗み、暴行など、悪の限りを尽くす近未来の不良グループ。リーダー格のアレックス(マルコム・マクドウェル)は、ある盗みの最中に仲間の裏切りで捕まった。その服役中に、悪人を善人に変える奇妙な洗脳実験を受け、暴力を嫌悪する無抵抗な人間となって娑婆に戻される。しかし、そんな彼を待っていたのは、かつて自分が暴力の対象にしていた者たちからのすさまじい報復だった。
 アナーキーな若者の過剰なまでの暴力嗜好を、芸術的かつポップなセンスで大胆に映像化した。一度観たらとりつかれるほどの妖しい魔力に満ちた、永遠のバイブル作品だ。

 【 出演 】
マルコム・マクドウェル, パトリック・マギー, マイケル・ベイツ, ウォーレン・クラーク

 【 監督 】
スタンリー・キューブリック



 【 感想 】

 この映画「時計じかけのオレンジ」をみなさんは鑑賞されたことがありますか?1971年に公開されたスタンリー・キューブリック監督の作品です。1971年に公開ということで少し昔の作品ですが、今観てもとても斬新さもあって新鮮に感じられると思います。なのでSF映画がお好きという方は、ぜひ観てくださいっ。

 + 鑑賞される際の注意 +

 本作はハイセンスな映像美と音楽などがほんとに素晴らしいSF映画の名作なのですが、麻薬・暴力・盗み・性暴行といった内容を含んでおりますので、そのような映画が苦手な方やご家族で鑑賞される際には注意してください。


ウルトラバイオレンス映画


 まさにこの映画は「ウルトラバイオレンス」という言葉がぴったりの作品です。麻薬・暴力・盗み・暴行とめちゃくちゃな映画です。なので観るには相当な覚悟がいると思います。

 しかし、すべてにおいて斬新でストーリー展開や構成もしっかりしていますし、キャラ設定が完璧なほどに確立されています。まさにキューブリックの世界。キューブリック作品が大好きという方にはぜひとも観ていただきたいです。

アレックスのアップ

「ドルーグ」のリーダー アレックス(マルコム・マクダウェル)


 はっきりいって…完璧にイカれてます。この男こそこの映画「時計じかけのオレンジ」をウルトラバイオレンスにした張本人です。人間が持つすべての欲望を全く制御することなく、すべてを欲望のままに行動し続けるのがアレックスなんです。そんな逸脱した彼を、十分過ぎるほどの時間を使ってキャラ紹介がされているので存在感は恐ろしいものがあります。

 キャラ設定の一つに、アレックスはベートーヴェンをこよなく愛しているんです。ロックではなくクラシックというのが、アレックスに神秘さを与えているのだと思います。これこそ完璧なるキャラ設定だと感じました。そんなアレックスをリーダーとする4人組のグループ「ドルーグ」が、欲に従い大暴れ。決して関わりたくないグループですねっ。

ドルーグのメンバー

悪行の数々


 もうドルーグの行動を誰も止めることができません。一体何が目的なのか?単なる暇つぶしなのか?恐ろしいほどの悪行の数々を次から次へと行っていきます。単純に面白いからという理由で行っているようにも思えますが、彼らに襲われる理由と言えば・・・運が悪かったとしかいいようがありません。

 集団で性的暴力、そして路上で生活している人に対する暴力、家に侵入し暴れまくる、思わず目を覆いたくなるようなシーンばかりなのですが、音楽だったり小道具などがとてもセンスがあり、芸術的な要素も含んでいます。「雨に唄えば」を唄いながら暴力を行うところなんかは、暴力に対する彼らの考えが伝わってきました。逆にそれが怖かったんですけどねっ。

高架下での暴力

恐怖の実験 「ルドビコ心理療法」


 物語の中で、アレックスに対してある実験が行われるのですがすごいシーンです。目にクリップを付け目を閉じられないようにし、本人の意思を無視し、いろいろな映像を音楽と共に何回も何回も鑑賞させる。いくら大好きな映画だとしても何回も何回も繰り返して鑑賞させられたら、嫌いになってしまうかもしれませんねっ。

 実験は成功しアレックスは犯罪を犯すことのない・・・いやっ、犯罪を決して犯すことのできない人間になってしまいました。しかし、これは牢屋の中に閉じ込めているのと結局同じですよねっ。

 これは更正させたのではなく、無理やり制御させられているのであって、アレックスの中で何かが変わったというわけではないですもんねっ。それにしてもあの実験方法はインパクトあります。一度観たら忘れないシーンでした。

実験をされるアレックス

アレックスへの復讐


 実験が成功して刑務所から出たアレックスですが、刑務所にいた方が幸せだったのではないかと思うぐらい社会が怖かったです。刑務所に入る前は何丁もの機関銃を持ちながら戦場をスキップするようなアレックスでしたが、刑務所を出たアレックスは武器を持たずに戦場に放たれたかのように怯えていましたねっ。

 もちろん彼の今までの悪行が悪いのですが、わかっていても怖かったです。特に・・・2人の警官・・・怖すぎました。なんと元ドルーグのメンバーの2人が警官になっていたんですよねっ。警官2人の顔が見えてそれがわかった時、ほんとに怖くて少し震えました。立場が変わった今、思う存分アレックスに復讐します。

警察官による復讐

 あとあの作家のおじいさんの表情・・・・あのアングルからの狂ったような表情は、もうほんとに恐ろしかったです。元ドルーグのメンバーから復讐され、命からがら辿り着いたのが最悪なことに作家アレクサンダーの家だったんですねっ。あの事件で妻は亡くなっており、彼は車椅子で過ごさなければいけない状態になっていました。

 負傷しているアレックスを助けてあげたアレクサンダーでしたが、アレックスが昔家に襲ってきた男だとわかってからは、もうほんとに恐ろしい表情になっていましたねっ。そこからアレックスへの復讐が始まるのですが、あのアレクサンダーの狂ったような表情はいつまでも忘れることができないぐらいインパクトがありました。

作家の恐ろしい顔

「もう完璧に治ったわね」


 アレックスは病院で元の自由奔放な性格に戻りました。そして言われた言葉が・・・「もう完璧に治ったわね」。確かに元には戻りましたが、本当に治ったと言えるのでしょうか?

 あの欲のままに行動するアレックスが正常な状態と言えるのでしょうか?そしてそんなアレックスを見て「もう完璧に治ったわね」と言った人も正常とは言い難いですよねっ。なんとも皮肉で深い表現で、そのへんがおもしろかったです。

 あとアレックスが完璧に治り、前のような欲がままに行動する生き物に戻りましたが、ただ単に戻っただけではありません。いわば政府からウルトラバイオレンスの許可証をもらったようなものです。

 あの昔のアレックスが帰ってきただけでも恐ろしいのに、その上全ての行動を自由にさせてしまったのですから、これ以上に恐ろしいことはありません。

ベッドの上のアレックス

ウルトラバイオレンスの世界


 アレックスという男は本当にイカれていていますよねっ。しかし、イカれていたのは彼だけだったのでしょうか?違いますよねっ、彼を取り巻く環境すべてもイカれていました。

 彼のグループ「ドルーグ」のメンバーを始め、家族、刑務所、科学者、政治家・・・すべての人たちが狂っていて、まともな人はいなかったように思えます。そう考えると、アレックスという男が存在したのも必然だったのでしょうねっ。

 この映画の設定は近未来ということですが、公開された1971年と今では犯罪も変わってきていますよねっ。昔では考えられない事件が数々起こっていて、毎日のようにニュースで報道されています。

 今の子どもたちが親になったとき、もしかしたら今では考えられないような事件が起こるのかもしれません。子どもの置かれる環境、とても考え深いものがあります。この「時計じかけのオレンジ」のような世界がやってこないことを祈りたいです。

ケガをしているアレックス

キューブリックの映像センス


 「2001年宇宙の旅」を観て、映像の素晴らしさを思い知らされ、キューブリックの映像センスに対して多大なる評価を持つ私ですが、この「時計じかけのオレンジ」でさらに評価が上がってしまいました。

 独特で斬新なカメラワーク、早送りやスローモーションを使ったシーン、これほどまで映像というものが力を持ち訴えかけてくるものだとは思いませんでした。観客を惹き付ける術を心得ているんですよねっ。しかもこれが1971年の作品ということで、これまでの作品に大きな影響を与えてきたのでしょうねっ。SF映画の名作だと思います。

映画「時計じかけのオレンジ」のDVD・Blu-ray・サントラ音楽・小説・本

パッチさん、いつも楽しく見させてもらってます♪

「雨に唄えば」など音楽も印象的な映画でしたね 。バイオレンスなシーンをよりひきたたせていたと思います。

かなり昔に観た映画なので、また観てみようと思いました。

  • 2008/11/13
  • なおふみさん
パッチさん、こんばんは!
マーボーです。

『時計じかけのオレンジ』私もかなり昔に観たのですが・・
その内容と、世界観、映像、キャラクターすべてに衝撃を受けました。
本当、「怖い」って言うのが率直な感想ですね。
最後のセリフも印象的でした。

同じキューブリックの作品として・・
『アイズ・ワイド・シャット』も観たのですが、これもある意味衝撃的でした。

キューブリックはすごいですね。カルト人気もうなずけます。
  • 2008/11/13
  • マーボーさん
 【なおふみさんへ】

こんばんは、なおふみさん。
コメントありがとうございます。

「雨に唄えば」の曲がすごくシーンにインパクトを与えてましたよねっ。
すべてが斬新で、センス溢れる映画だと思います。
キューブリックは素晴らしい監督ですねっ。

かなり昔に鑑賞された作品を、また改めて観てみるのもいいですもんねっ。
また新たな発見もあるかもしれません。
ぜひ鑑賞していただきたいと思います。

ご訪問ありがとうございました(^^)
  • 2008/11/13
  • パッチさん
 【マーボーさんへ】

こんばんは、マーボーさん。
コメントありがとうございます。

この映画はほんとに私も衝撃を受けました。
世界観もカメラワークも音楽も、今観ても新しいものがありますもんねっ。
「怖い」という感想、よくわかります。
私もほんとに怖かったです。
そして最後のセリフ、とても深いものがありましたねぇ。

キューブリックの作品はある程度は鑑賞しているんですが、
「アイズ・ワイド・シャット」はまだ鑑賞していないんですよねぇ。
そして、まだまだ観ていない彼の作品がたくさんありますので、
また機会がありましたら、キューブリックの世界を覗いてみたいと思います。

ご訪問ありがとうございました(^^)
  • 2008/11/13
  • パッチさん
こんばんは!
この作品は実は未見です。
この作品のお噂はよく耳にするんですが
どうも、鑑賞するだけの意欲が湧いて来ない作品でした(><)
確かに「2001年宇宙の旅」の映像は綺麗でした。。
パッチさんはこの作品で、また彼の映像センスに
参ってしまったですね!!
今度、機会がありましたら、鑑賞してみようと
思います。子どもには見せない方が、宜しいんですね^^
判りました^^
では応援です凸
  • 2008/11/13
  • ぴーちさん
 【ぴーちさんへ】

こんばんは、ぴーちさん。
いつもコメントありがとうございます。

この映画はSF映画としても、そしてキューブリックの作品としても、
とても有名ですよねっ。
しかし、なかなかこの作品に手を出せないというのもわかります。
とても刺激の強い内容となっていますので、
すべての人におすすめできる作品でもありませんしねっ。

でも、そうなんですよねぇ。
またまたキューブリックのセンスにはやられてしまいました。
カメラワーク、音楽、内容等、すべてにおいて彼のセンスが伝わってきました。
そういう意味でもとても観る価値ありの作品だと思います。
そして内容からして、やはりお子さんには見せない方がいいと思います。
はいっ、機会がございましたら鑑賞していただきたいです。

いつもご訪問、そして応援ありがとうございます(^^)
  • 2008/11/13
  • パッチさん
パッチさん、こんにちわ(^ー^)
初めてこの映画を観たときは、強烈な印象でした~。
正直言って、暴力・暴行シーンは大嫌いですし、
そのシーンでは嫌悪感を感じました!
でもでも、
ベートーベンを中心に荘厳なバロックやクラッシックをカバーした
電子音楽や、とくに前半の凝りに凝った ”映像美術”や、
映画全編にわたるシニカルな演出は、
キューブリック監督のセンスと手腕が冴え渡っていて素晴らしいと思いましたよ!
パッチさんの仰るように、
子供には絶対に見せたくないのも確かですね・・・
応援ぽち!!
  • 2008/11/19
  • tessさん
 【tessさんへ】

こんばんは、tessさん。
コメントありがとうございます。

ほんとにこの映画はとてもインパクトの強い作品だと思います。
暴力シーンはほんとに観ていられないほど残酷で、
かなり怖かったです。
構成・音楽・ストーリー展開・映像、ほんとにセンス溢れる作品で素晴らしいと思うんですが、その1点だけが私も受け入れ難いところです。
暴力シーンに「雨に唄えば」を使ったところなんて、すごくセンスに溢れて賞賛に値すると思うんですが・・・2度は観たくないです。

ただこの映画でキューブリックは天才だなぁと感心させられました。
たくさんの監督さんに影響を与えたでしょうねっ。

はいっ、確実に子供には見せることはできませんねっ。
う~ん、理想として20歳越えてから観てほしい作品かもしれません。
ご訪問ありがとうございました。
いつも応援ありがとうございます(^^)
  • 2008/11/19
  • パッチさん
どうも初めまして。

時計じかけのオレンジは、セットのセンスが好きです。
あの目に入れるシーンは苦手で、ああゆうの見ると涙出てしまいます。Wikipediaで知ったんですが、あのシーンを撮るとき機会がづれて失明しかけたらしいです。
  • 2008/11/19
  • 丸場盆山さん
 【丸場盆山さんへ】

はじめまして、丸場盆山さん。
コメントありがとうございます。

この作品は、過剰な暴力シーンや目に装置を装着するシーンなど、
思わず目をそむけたくなりますが、
やはりセンスは素晴らしいですよねっ。
目に付ける装置で失明しそうになったのですか?
それはとても怖いですねぇ。
簡単な装置なので危険ですよねっ。
情報ありがとうございました。

ご訪問ありがとうございます(^^)
  • 2008/11/20
  • パッチさん
あの時代にこんなものを作ったなんてすごい、という見方を差し引いてもやはりすごい。
あの時代に初めて見た人のショックは、すごかっただろうなぁ。
映像、セット、衣装、音楽、演技のすべてが、あの映画の不快さを盛り上げています。
  • 2009/01/02
  • 中尾ジョニイ圭佑さん
 【中尾ジョニイ圭佑さんへ】

こんばんは、中尾ジョニイ圭佑さん。
コメントありがとうございます。

あの時代に作られたというのは本当にすごいことですよねぇ。
そして今観てもすごいということが言えますよねっ。
映像や音楽・・・すべてのセンスが素晴らしいです。
彼の頭の中を覗いてみたいです(^^)
  • 2009/01/03
  • パッチさん
コメントありがとうございましたm(__)m

そうそう!パッチさんのレビューを以前に拝見させていただいて
この作品はすごく印象に残っていたんですよ^^
鑑賞してみて、インパクトの強さに驚きました!
話しの内容は、強烈な社会風刺でしたが、斬新な構図、
カメラワーク、奇抜な色遣い・・
今の時代、鑑賞しても、かなりの衝撃を受ける作品ですのに、
当時は、社会問題にまで発展したと言われていますが、
納得ですね^^;

女性が何方もスタイルが良くて、お美しいのも
素晴らしかったんです←(何処を見てるんだかww)
それでは、また、お邪魔しますね^^
  • 2009/10/17
  • ぴーちさん
 【ぴーちさんへ】

こんばんは、ぴーちさん。
コメントありがとうございます。

はいっ、以前にもコメントいただきましたもんねっ。
やはりこの映画から受けるインパクトは
とてつもなく大きいので、一度観ると忘れられないですよねっ。
あとたくさんの映画を鑑賞している方であればあるほど
どうしてもあのカメラワークだったりカット割りが、目に付いてしまいますよねっ。
それほど素晴らしくセンスに溢れていたと思います。

女性の方はほんとに綺麗ですよねぇ。
ただ妖艶な雰囲気もあって、どこか怖さもありました。
終盤のおじいちゃんの怒りの形相・・・怖かったですよねぇ。
2人の警察官も怖かったです。

はいっ、いつでもお越しください。
ご訪問ありがとうございました(^^)
  • 2009/10/17
  • パッチさん



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